研究課題/領域番号 |
19K16008
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
西森 朝美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 研究員 (80817578)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 牛伝染性リンパ腫 / 腫瘍発症機序 / B細胞 / AID / 牛白血病 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ウシB細胞性リンパ腫である牛白血病(BL)について、病態進行に関わるリスク因子の解明を目的とする。BLはウシ白血病ウイルスの感染によって起こるが、感染牛のうち一部のウシのみしか発症に至らないことが知られている。そこで本研究では、BL発症のリスク因子として、宿主の突然変異誘導酵素である活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)に着目し、野外臨床検体および細胞株を用いてAIDの発現量・変異誘導活性を調べることで、腫瘍形成におけるAIDの役割を明らかにする。本研究の成果は、BLにおける病態進行メカニズムの一端を明らかとするとともに、BLによる損害の低減に繋がるものである。
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研究成果の概要 |
牛伝染性リンパ腫(BL)はレトロウイルス感染によって起こるウシのB細胞性リンパ腫であり、感染牛の約1~5%のみが発症へと至ることが知られているが、その詳細なメカニズムは明らかでない。本研究では、宿主の突然変異誘導酵素である活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)に着目して、臨床検体および細胞株を用いてAID発現量および変異誘導に関わる活性を解析することで、BL発症とAIDとの関連性を検証した。その結果、両者に明瞭な関連は認められず、腫瘍形成におけるAIDの関与性は低いことが示唆された。一方、解析の過程でBL発症には癌関連遺伝子上のCpG部位への変異導入の影響が大きいことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでヒトの臨床検体や細胞株、およびマウスを用いた実験において、B細胞性リンパ腫とAIDの関連を示唆する報告がなされているが、ウシのリンパ腫との関連性は不明であった。本研究の結果から、BL症例におけるAIDの変異誘導因子としての関連性は低いと推察された。一方で、体細胞変異様式の解析により、BL発症牛では特定の癌関連遺伝子においてCpG部位のC(G)→T(A)変異が高率に起こっていることが明らかになったため、今後より詳細な体細胞変異解析を進めることで、BL発症メカニズムに関して新たな知見が得られると期待できる。
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