研究課題/領域番号 |
19K16009
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
松下 幸平 国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 主任研究官 (60777796)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 急性腎障害 / 慢性腎臓病 / 腎線維化 / CD44 / レーザーマイクロダイセクション / 虚血再灌流障害 / AKI to CKD / 急性腎障害(AKI) / 慢性腎臓病(CKD) / 再生尿細管 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、慢性腎臓病(CKD)に対する有効な治療法はなく、CKDの本態である線維化のメカニズム解明は喫緊の課題である。再生尿細管は急性腎障害(AKI)発症時における組織修復の中核を担う細胞であるが、その再生機構が破綻した場合、再生尿細管は線維化促進作用を示すようになり、CKDに進展する起点となる。本研究ではAKIからCKDへの進展過程における再生尿細管の線維化促進メカニズムの解明を目的とし、マイクロダイセクションにより再生機構の破綻した再生尿細管を採取し、線維化促進作用に関わる因子を特定する。本研究によりCKDの新規治療標的および診断バイオマーカー探索に資する基礎的な情報を提供したいと考える。
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研究成果の概要 |
慢性腎臓病(CKD)の発症要因の一つとして、急性腎障害(AKI)からCKDへ移行するAKI to CKDという現象がある。AKIの主要な標的である尿細管上皮細胞は再生能力を有するが、その再生に異常が生じた場合、尿細管は線維化促進性の形質を獲得する。本研究では再生異常の生じた尿細管の線維化促進メカニズムを明らかにすることを目的とした。腎虚血再灌流モデルラットを用いた実験結果により、CD44が再生異常を来した尿細管に線維化に先立って発現すること、さらにCD44は尿細管の細胞外基質の分泌を誘導する可能性を示した。本研究により尿細管による腎線維化促進メカニズムの一端を明らかにすることができたと考える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
慢性腎臓病(CKD)は国民の10%以上が罹患する国民病であり、CKDの本態である腎線維化のメカニズム解明は重要な課題である。本研究結果は急性腎障害後に再生異常の生じた尿細管においてCD44が細胞外基質の産生を誘導する可能性を示した。これまでの国内外の研究により、再生異常を来した尿細管は線維芽細胞を活性化して間接的に線維化に寄与することが示されている。本研究結果は尿細管による細胞外基質産生の可能性を示しており、既知の知見とは異なる側面から腎線維化メカニズムの一端を明らかにすることができたと考えている。よって、本研究成果はCKDの新しい予防法および治療法の開発の一助となることが期待される。
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