研究課題/領域番号 |
19K16012
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大我 政敏 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40644886)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ROSI / クロマチン構造 / ROSI胚 / 雌雄差 / 個体形成能 / 円形精子細胞注入 / 低個体形成能 |
研究開始時の研究の概要 |
ROSI胚はヒトの不妊治療において、精子を作れない男性不妊患者の最後の頼みの綱として その関心は年々高まっている。だが、成熟した精子と受精した胚(ICSI胚)と比べて個体形成能が低いためその産仔率は半分程度と低く、原因は不明である。一方、申請者は胚を殺さずにクロマチン構造を解析できるzFRAP法により、マウスROSI胚の低産仔率の一因がクロマチン構造の「緩さ」の異常であることを明らかにしてきた。そこで本研究では、独自に開発したzFRAP法と様々な分子生物学的手法および次世代シーケンサーによる解析を組み合わせて、このクロマチンの緩さの異常の原因を究明し、個体形成能改善胚の作出技術を確立する。
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研究成果の概要 |
精子は受精卵のクロマチン構造を締める作用を有するのに対して、円形精子細胞はこの能力を持っていないことがわかった。また、興味深いことに、精子は自身のこの作用に対して、抵抗性を持つことで、卵子由来の雌性前核とのクロマチン構造の緩さの差異を生じていたのに対して、円形精子細胞はこの抵抗性も持っていなかった。以上より、ROSI胚では精子成熟過程で獲得されるクロマチン構造の制御機構の欠損が、異常なクロマチン構造を形成する原因だとわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
精子の前駆細胞である円形精子細胞を使った受精卵作成法であるROSIは、精子形成能を持たない男性不妊治療患者の最後の頼みの綱と言える。これまでその普及を阻む低産仔率の原因の候補として、ROSI胚に関して様々なエピジェネティックな異常が報告されてきた。だが、それらは円形精子細胞に由来する雄性前核におけるものばかりであった。本研究では初めて、ROSI胚における雌性前核のエピジェネティックな異常を見出し、さらに、精子に由来する活性の欠損がその形成の原因であることが明らかとなり、雌雄ゲノムの相互作用と精子成熟過程の新しい関係を見出すことができた。本知見は、ROSI胚の低産仔率改善のために貢献するだろう。
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