研究課題
若手研究
本研究では、医学領域における糖尿病性腎症の発症メカニズムの解明および前臨床試験研究に使用する糖尿病性腎症モデルブタの作製を行う。具体的にはこれまでに作製した膵臓形成に関連するPDX1遺伝子改変糖尿病ブタの精子を用いて体外受精卵を作製し、さらにゲノム編集技術を用いて生体の血圧調整に関連するBK2R遺伝子をノックアウトすることで、BK2R遺伝子とPDX1遺伝子を改変し、糖尿病と高血圧の両疾患を有する糖尿病性腎症発症モデルブタを創出する。糖尿病患者は高血圧も同時に患うケースが多く、よりヒトの病態に近いモデル動物として外挿性の高い効果的な研究が可能となると期待できる。
本研究では、PDX1改変糖尿病ブタの精子を用いて作製した体外受精卵へのBDKRB2遺伝子を標的としたゲノム編集により糖尿病性腎症モデルブタの作出を目指した。BDKRB2遺伝子を高効率に改変するgRNA2種の同定を行い、それらを用いてゲノム編集胚を作出後に受胚ブタに移植したが産子を得ることはできなかった。一方、PDX1ヘテロノックアウトブタを作出し糖尿病に関連する表現型の観察を行ったところ、野生型ブタと比較し健康上の異常は認められず、耐糖試験の結果でも差は認められなかった。ブタでは、PDX1遺伝子単独のヘテロノックアウトでは糖尿病を誘発するには不十分であることが示唆された。
糖尿病患者は増加の一途を辿り、同時に問題となる糖尿病性腎症も含めてその病態解明および治療法の開発研究のため疾患モデルブタの担う役割は大きい。本研究では目的とする遺伝子改変ブタを得ることはできなかったが、本研究結果からPDX1遺伝子単独のヘテロノックアウトではブタでは糖尿病を誘発するには不十分であることが示唆された。PDX1遺伝子ヘテロノックアウトマウスでは膵臓β細胞からのインスリン分泌が低下することが知られているが、ブタでは表現型が異なることが示唆された。今後、糖尿病モデルブタの作出を目指す上で重要な知見が得られた。
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