研究課題
若手研究
世代交代に約5年を有するカニクイザルにおいては、F0世代で再現性ある遺伝子疾患モデルを作出しなければならない。その為にはモザイク変異を回避し、的確に変異を誘導することが必須である。この課題を解決するためにはCas9が1-cellで機能し直ぐさま消失する必要がある。本研究は、細胞周期関連因子であるGemininと卵子の特徴的な細胞周期を利用することで、Cas9の動態を制御し再現性あるモデル動物をF0世代で作出することを可能とする新規ゲノム編集技術の確立を目指すものである。
カニクイザルにおいて効率的に疾患モデルを作出するために、下記について検討を行った。1)常染色体優性多発性嚢胞腎モデルサルの作出を目的に、その原因であるPKD1遺伝子について、CRISPR/Cas9法による変異誘導(KO)の検討を行い、ヒト病態を再現するPKD1 KOカニクイザルの作出に成功した。2)マウス及びカニクイザル受精卵において、導入遺伝子の発現モザイク性を極力抑えたpiggyBacトランスポゾンシステムの導入条件を見出した。3)相同組換え関連因子を発現するベクターシステムを構築し、KIへの応用を試みた。しかし有意な改善は認められず、さらなる技術開発の検討が必要であった。
本研究成果により、小型げっ歯類では再現が困難であった疾患について、ヒトへの外挿性が高いカニクイザルにおいて、ノックアウト技術を用いた疾患モデル動物の作出が可能となった。またトランスジェニック技術においては、胚レベルではあるもののレポーター遺伝子の発現が認められたことから、導入遺伝子の過剰発現によるモデルサル作出の実現可能性が示唆された。これらの結果から、基礎医学研究に資するモデルカニクイザルリソースの開発が飛躍的に効率化することが期待される。
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