研究課題/領域番号 |
19K16036
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 雄介 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (50814448)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | epigenome / nutrition / high-fat diet / medaka / sperm / oocyte / 高脂肪食 / メダカ / 生殖細胞 / 次世代 / 卵 / 卵成熟 / 母性因子 / 卵黄 / エピジェネティクス / 代謝 / 獲得形質遺伝 / リプログラミング |
研究開始時の研究の概要 |
環境刺激により後天的に獲得された個体の表現型は、時に世代を超えて伝達される。この際、生殖細胞におけるエピゲノム変化が次世代まで伝達されると考えられているが、受精後のエピジェネティックリプログラミングをどのように乗り越えるかについては不明である。本研究では、哺乳類と比較してリプログラミング時のエピゲノムの追跡が容易なメダカを用い、高脂肪食投与による栄養刺激が生殖細胞(精子)にどのようなエピゲノム変化をもたらし、受精後のリプログラミング過程でどのような消長を示すかを追跡する。
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研究成果の概要 |
本研究ではメダカを用い、父親に対する高脂肪食(High-fat diet: HFD)投与が次世代個体に与えるエピジェネティックな変化を調べた。しかし、父親の食餌条件による次世代胚の遺伝子発現・クロマチン構造の変化はほとんど検出されず、また明瞭な表現型の変化も観察されなかったため、メダカでは父親のHFD摂取が次世代個体にほとんど影響を与えないことが示唆された。そこで、母親に対するHFD投与が次世代個体に与える影響に研究対象を切り替えた。その結果、母親HFD群では受精率および次世代胚の正常発生率が低下し、また卵内の成分(卵黄タンパク質・代謝物・母性RNA)に変化が生じていることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、哺乳類を中心に父親の食餌が仔の代謝に影響することを示す報告が数多くなされているが、メダカに対するHFD投与系を用いた本研究では次世代への影響が観測されなかった。したがって本研究は、父親の食餌が次世代に与える影響の度合いが生物種や食餌内容によって異なる可能性を示唆していると考えられる。一方、母親に対するHFD投与系から、メダカでも哺乳類と同様次世代胚の発生異常を引き起こすこと、およびこれが卵黄成分の変化という卵生動物に特有の機構に起因する可能性を提示した。本研究は親の食餌が次世代に与える変化の機構への理解を深めると共に、魚類の育種など水産業の分野にも知見を与えると期待される。
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