研究課題/領域番号 |
19K16061
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
古池 美彦 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (70757400)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 概日時計 / 概日リズム / 時計タンパク質 / ATP加水分解 / リン酸化 / シアノバクテリア / X線結晶構造解析 / ATP加水分解反応 / リン酸化・脱リン酸化反応 / 祖先配列 / タンパク質進化 / ATPase |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では(1)系統樹に基づき各年代の祖先型KaiCを復元し、(2)それらのATP加水分解反応を実際に測定して太古地球の自転周期との対応関係を明らかにする際、(3)反応様式の変化を可能にしてきた分子構造基盤に立脚することで、シアノバクテリアの時計タンパク質KaiCが自律振動性・温度補償性・同調能をいかに獲得したか、すなわち機能発現の必要条件に物理化学、生物物理に基づいて迫る.
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研究成果の概要 |
シアノバクテリアの概日時計を構成する時計タンパク質KaiCが、ATP加水分解とリン酸化・脱リン酸化という二種類の化学反応を利用して、時を刻む仕組みを解明した。各化学反応の重要なステップを捉えた計十種のKaiC結晶構造ライブラリは、KaiCが自身の活性部位内の原子配置、二次構造変換、三次・四次構造を制御することで、概日振動を発生させていた。この仕組みは概日時計の起源に近い祖先型KaiCにおいても既に確立されていたと考えられる。また本研究課題で明らかになったKaiCの動作原理は、複雑多様な機能・構造をもつと考えられる高等生物由来の時計タンパク質が思いのほかシンプルな機構を持つ可能性を示していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
私たちヒトを含む生物は、自転する地球の環境に適応して暮らしています。日周環境変動への適応システムは、社会や生態系のような大規模なものから、細胞や生体分子のような微小なものにまで様々なかたちで存在します。概日時計システムは、全長約10nmのタンパク質の化学反応によって駆動されています。分子内では、原子ひとつひとつや、原子の結合によって構成される構造ユニットの運動が、時間帯に応じて精密制御されていることが明らかになりました。本研究の着眼点、手法、成果および創出された学術概念は、様々な生物の概日時計研究に適用でき、また時間を読み取って自律制御する極小デバイスの開発などに知見を与え得ると考えられます。
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