研究課題/領域番号 |
19K16070
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小田 有沙 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00760084)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 酵母 / ストレス応答 |
研究開始時の研究の概要 |
酵母は、古くから発酵や醸造などで人類に利用されており、また、扱いやすい単細胞の真核モデル生物として、分子生物学の黎明期から、細胞内での遺伝子発現や代謝経路などが詳しく調べられて来た。近年の定量生物学分野でも、1細胞レベルでの定量的な計測が注目されている。 ところが、酵母が本来生息する自然環境や発酵の状況下では、単一の細胞として振舞っているわけではなく、細胞集団として振舞っているはずである。本研究では、分裂酵母のストレス適応時の増殖速度を連続的に測定することで、従来の研究では見落とされがちだった酵母の増殖時の振舞いを細胞集団で観察する。
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研究成果の概要 |
本研究では、酵母がグルコース枯渇環境に適応する際、自身の増殖をも阻害する作用を持つ複数のストレス物質を環境中に分泌することが見出された。つまり、酵母は飢餓ストレスに適応するだけでなく、さらに別の複数の物質を分泌することで、より複合的な「飢餓+毒」というストレス環境を作り出していた。自らの増殖を抑制する物質の分泌は、生存には一見不利に思われる。だが、実際には、飢餓環境へ適応した酵母は、増殖阻害物質群への耐性も示した。これらの結果から、酵母の分泌する阻害物質は成長の阻害と同時に、 飢餓への適応を促進することで、自らのリネージに有利な環境を作り出している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、酵母の集団レベルでの適応を観察することで、細胞間相互作用を介した生存戦略を理解することを目指した。その結果、ストレス環境下で、酵母が自身のリニエージの生存に有利なように環境中に物質を分泌することがわかった。この研究は、従来報告されてきた細胞内の応答と同時に、酵母自身による環境変化も取り扱うことで、より高次な酵母の環境適応現象の理解へとつながった。
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