研究課題/領域番号 |
19K16074
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森瀬 譲二 京都大学, 医学研究科, 助教 (60755669)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | AMPA型グルタミン酸受容体 / N型糖鎖 / 一分子イメージング法 |
研究開始時の研究の概要 |
記憶学習形成には、神経活動に伴った適切なスパイン強度の維持が要求される。その制御には、スパインでのAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)の数が重要となる。従って、AMPARが樹状突起からスパインへ向かって移動する側方移動と呼ばれる現象を理解することが、記憶学習形成メカニズム解明の上で必須となる。これまでに特定の糖鎖の欠失により、記憶学習形成の基盤となる長期増強が減弱することを見出してきたが、糖鎖によるAMPARの移動制御機構を明らかにした報告はない。本研究は、生細胞膜上の分子の動きを一分子ごとにリアルタイムに追跡できる高精度一分子イメージング法を駆使して、その解明を目指すものである。
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研究成果の概要 |
AMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)数は、神経細胞間の興奮性伝達量を規定する。従って記憶学習形成の分子メカニズムを理解する上で、その数の制御機構の解析は重要となる。特にAMPAR上の特定の糖鎖構造を欠失させると、記憶学習形成の基盤となる長期増強の低下が観察されてきた。そこで本研究では、特定のN型糖鎖がAMPARの数をどのように制御するか、膜表面発現量や膜表面動態に着目しながら解析を行った。結果、これまで安定的な四量体とされてきたAMPARは、膜表面上で単量体から四量体へ数百ミリ秒単位で組み替わることが分かった。そして特定のN型糖鎖が、AMPARの膜表面発現量を制御することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでアルツハイマー病を代表とした脳機能疾患において、海馬領域での長期増強異常が見つかってきた。なかでも最近、ハンチントン病態モデルにおいて膜表面上でのAMPARの移動能に異常があることが報告された。そして興味深いことに、一部の統合失調患者で異常な糖鎖修飾がAMPARに観察されることも分かってきた。その中で本研究成果は特定の糖鎖構造がAMPARの動態にどのように影響を与えるかについて解析したものであり、糖鎖が疾患の原因分子である可能性や、新たな治療標的となりうる可能性を示した点で、重要な知見であると考える。
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