研究課題/領域番号 |
19K16087
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 慎哉 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (50814894)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 視細胞 / 網膜 / 多光子顕微鏡 / 蛍光生体イメージング / ロドプシン / PKA / cAMP / 多光子励起顕微鏡 / ライブイメージング / Protein kinase A / 電気生理学 / 光生物学 / 二光子顕微鏡 / 蛍光イメージング / Protein Kinase A / Protein kinase A (PKA) / 蛍光バイオセンサー |
研究開始時の研究の概要 |
桿体視細胞のProtein kinase A (PKA) が光に応答して活性化される仕組みと、PKAが視細胞の視覚感度に与える影響の解明を目指す。桿体視細胞は夜間視(暗所視)を司る網膜の光受容細胞だが、その感度がPKAの作用で上昇することが近年報告された。しかし、生理学的な条件下で桿体PKAが活性化される仕組みは謎だった。申請者は、多光子蛍光顕微鏡で生きた網膜細胞の中のPKA活性を直接観察する技法を編み出し、それを用いて網膜に光が当たると桿体視細胞でのみ約15分間PKAが活性化されることを発見した。本研究では、この新規現象を司る光受容体の同定と、PKAが視覚感度に及ぼす影響を研究する。
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研究成果の概要 |
多光子顕微鏡を使ったマウス網膜の蛍光ライブイメージングを行い、桿体視細胞が持つ第二の光応答、光OFFによるcAMP依存性キナーゼ (protein kinase A, PKA) 活性化を発見した。研究開始当初の予想を覆し、桿体の光受容タンパク質ロドプシン、およびGタンパク質トランスデューシンがPKA活性化に関与することが判明した。過去の知見とアルビノマウスでの測定から、光ON時にはドパミンによって桿体PKAが抑制されることも分かった。これらの結果から、光OFF時の急速なドパミン停止と、ロドプシンからの持続的な活性化シグナル入力が統合され、見かけの光OFF活性化を形成するモデルを提唱した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ロドプシンは桿体視細胞の視覚光応答を司る光受容体で、1867年にキューネが報告して以来、生物学の広い範囲で研究され続けてきたモデルタンパク質である。ロドプシンの主要な機能は桿体cGMP分解を介した視覚光応答の惹起、これは我々の夜間視力を司る。私はロドプシンが、桿体が視覚機能を示す強度より10000倍以上強い光を受容した際、PKAを活性化することを示した。PKAはcGMPではなくcAMPで活性化される酵素である。つまり、ロドプシンの弱光でcGMPを分解する経路に加え、強光でcAMPを合成する第二経路が判明したと言える。本研究は、長い歴史を持つロドプシン研究に新たな方向性を示した。
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