研究課題/領域番号 |
19K16099
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
梶原 佑太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40828159)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 創薬 / 生物物理学 / 分子シミュレーション / 計算科学 / ドラッグデザイン / 低分子化合物 / 膜タンパク質 / 結合自由エネルギー関数 / 統計熱力学 / インシリコスクリーニング / 自由エネルギー関数 |
研究開始時の研究の概要 |
創薬探索技術のタンパク質―化合物結合の理論的評価には溶媒のエントロピー効果が考慮されていない。木下らが水溶性タンパク質の構造形成や、その他の溶質との複合体形成において、水の並進配置エントロピーの概念により説明してきたことから、その重要性は高い。本研究では、創薬探索のために、膜タンパク質―化合物間の結合自由エネルギー関数(FEFbind)の開発を開始する。FEFbindには水中における結合に伴う、水の並進配置エントロピー利得と溶質の構造エネルギーの変化量を考慮している。さらにFEFbindに基づき、化合物とのスクリーニング系FEF-Screeningを開発する。GPCRに対して106~107個の化合物について探索を行い、実験的検証を行う。
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研究成果の概要 |
新規低分子創薬開発プロセスの短期化および低コスト化に資するため、創薬標的として重要な膜蛋白質低分子化合物結合について、実験に依存せず厳密かつ高速に予測が可能な結合親和性の評価法の開発を目指した。自然現象に沿った有効な薬剤デザインを可能にするためには、その物理因子を明確にしておく必要があるため、膜蛋白質化合物の結合に伴う因子ついて統計熱力学理論に基づいて詳細に解析した。 その結果、周辺環境における水のエントロピー効果が結合において特に重要であることが分かった。生体分子の種々の構造形成においてもこの因子は重要であるため、効率的な薬剤デザインにおいても見過ごすことができない要素であることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義について:従前の水環境中における生体分子の構造形成にとって一様にして重要な水のエントロピー効果が、膜タンパク質化合物の結合においても、重要な因子であることが分かった。生体分子にとってごく自然かつ極めて重要なこの因子は効率的な薬剤開発においても重要であると考えられる。 社会的意義について:昨今バイオ医薬品の普及が期待されているが、他方で、薬効性等につき分子レベルでの理解および解析においては、低分子医薬品の開発と比べて不向きである。本件は低分子医薬品の初期開発段階における高コストが問題となっている化合物の構造最適化において、その問題解決につながる基礎研究を行った。
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