研究課題/領域番号 |
19K16100
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鈴木 智大 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (00804775)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 脂肪細胞分化 / ヒストンメチル化 / SunTag法 / SETDB1 / SunTag / ヒストン修飾酵素 / ChIP / ゲノム編集 / 細胞分化制御 |
研究開始時の研究の概要 |
生体は,環境変化に適応するためにDNA塩基配列の変化を伴わない後天的な遺伝子発現変化を誘導する。この実体はDNAメチル化やヒストン修飾であり,エピゲノムと呼ばれる。エピゲノムは,体質として長期記憶されて生活習慣病などの疾患に寄与する。エピゲノムの一つである,ヒストン修飾は遺伝子発現と相関するという報告がある一方,特定ゲノム領域のヒストン修飾パターン形成が遺伝子発現変化の原因なのか,単に付随的な現象なのかを特定することは困難であった。本研究では,①特定ゲノム領域のヒストン編集技術を確立し,②ヒストン修飾を人為的に改変することで,エピゲノムレベルでの脂肪細胞の分化メカニズムの解明と制御を目指す。
|
研究成果の概要 |
肥満は日本国民の20-30%を占めており、生活習慣病の罹患リスクとなることから根本的な治療方法の開発が必要である。本研究では、細胞の遺伝子情報を改変することなく、遺伝子の発現に寄与するヒストンのメチル化修飾を人工的に制御するとこで脂肪前駆細胞の脂肪細胞化を抑制することを目指した。SunTag法というCRISPR-Cas9と抗原抗体反応を組み合わせた技術により、脂肪細胞化を制御する遺伝子領域にヒストン修飾酵素を動員することで、脂肪細胞分化に関わる遺伝子の発現を抑制するとともに、脂肪前駆細胞が脂肪細胞化することを防ぐことに成功した。本研究は、将来的に肥満の治療法開発に貢献することが期待される。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
dCas9融合ヒストン修飾酵素を用いた従来の研究では、ヒストンメチル化の人工編集による遺伝子発現の制御は困難だった。本研究では、標的遺伝子に複数のヒストン修飾酵素を動員するSunTag法を応用し、脂肪細胞化に関わる遺伝子の発現制御に成功した。また、実際に脂肪細胞化の抑制も可能で、将来的に肥満治療に応用できる可能性がある。本研究で用いた方法は、遺伝子情報の改変を伴わない点で安全である。また、SunTag法はCRISPR-Cas9を基礎とするため、様々な疾患治療で応用が検討されているRNA干渉より特定遺伝子の制御に向いており、遺伝子治療で問題となる非特異性に起因する副作用を克服できる可能性がある。
|