研究課題/領域番号 |
19K16104
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩崎 未央 京都大学, iPS細胞研究所, 特定助教 (10722811)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 転写後制御機構 / 神経前駆細胞 / プロテオミクス / 転写後制御 / 神経系細胞 / タンパク質 / 分化特異性 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)の持つ自己増殖能や多能性の詳細なメカニズムには未知の部分が多い。これまでその特徴を明らかにするために、細胞内の遺伝子発現量がmRNAレベルで多く解析されてきた。しかし、mRNAの量とタンパク質の量は必ずしも相関しない。 これまでに申請者は、十分に分化能を保持したiPS細胞において、mRNA量には変化が見られなかった特定の遺伝子のタンパク質の量が増加していることを明らかにしてきた。本研究では、その現象が神経細胞への分化能に違いのあるES細胞においても認められるのか、また、タンパク質翻訳の制御機構がどのように異なっているのか、さらに、分化能との関連性を明らかにする。
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研究成果の概要 |
二種類のhiPSCクローンを用いて神経前駆細胞へ分化誘導を行った。多能性幹細胞で転写後制御を受ける遺伝子群のタンパク量は多能性幹細胞と神経前駆細胞で相関していたが、一方でmRNAの量は神経前駆細胞のみで向上していたことから、タンパク量の制御機構が細胞種間で異なることが示唆された。さらに、二種類の遺伝子に着目し、三胚葉分化中におけるノックダウン実験を行った。その結果、三胚葉分化誘導によって細胞の形態は変化するが、生存する細胞数が減少したことから、これらの転写後制御を受ける遺伝子は細胞生存に影響を与える一方で分化能には関与しないことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトiPS細胞の樹立効率は今のところ数%程度であり、今後再生医療への応用を目指す際には作製コストや品質の点から樹立効率の向上が求められている。樹立効率が低い原因として、細胞初期化途中で老化してしまう細胞群の存在や、初期化に必要な複数の遺伝子量がある一定の範囲を満たす一部の細胞のみが初期化される等の多数の知見がある。細胞の性質を定義するには、mRNAによる遺伝子発現解析のみではなく、細胞の機能を担っているタンパク質を直接定量して解析する必要がある。本研究では、転写後翻訳制御機構が幹細胞の運命決定に影響を与えているかどうか着目した結果、運命決定よりもむしろ細胞の生存に寄与していることが示唆された。
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