研究課題/領域番号 |
19K16122
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
橋本 恵 お茶の水女子大学, ヒューマンライフサイエンス研究所, 特任講師 (50835733)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Vitronectin / 肝障害 / ビトロネクチン / 肝炎 / 線維化 / 非アルコール性脂肪肝炎 / ビトロネクチン / 肝星細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
飽食の現代、脂肪肝に負担がかかることで細胞外マトリックス代謝バランスが崩壊し、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者が急増している。ビトロネクチン(VN)は、NASHバイオマーカーとしての活用が期待されているマトリックス分子だが、NASH特異的にVN発現が急増するという理解に留まっている。NASHモデルVN欠損マウスを用い、VN欠損により肝星細胞活性化が抑制されることで、NASH症状が軽減することを見出した。しかし、詳細な分子メカニズムは未解明である。本研究では、「VNがインテグンを介して肝星細胞を異常活性化させ、NASHへの悪化を誘導する」という仮説を分子細胞・病理学的手法を用いて検証する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、ビトロネクチンが肝炎を誘導するメカニズムの解明を目的とし研究を行なった。これまでに、非アルコール性脂肪肝炎モデルビトロネクチンノックアウトマウス肝組織を用いて、ビトロネクチン欠損は脂質代謝関連因子の発現変動を誘発しないことを発見し、ビトロネクチンは肝炎において脂質蓄積ではなく炎症・線維化に関わる過程に作用すると示唆された。そこで、脂質蓄積を原因としない肝炎モデルを作製するために4週間および8週間四塩化炭素を腹腔投与することで四塩化炭素誘導型肝炎モデルビトロネクチンノックアウトマウスを作製し、ビトロネクチンが四塩化炭素誘導型炎症・線維化を制御するかどうかを検証した。ビトロネクチンノックアウトマウスでは、四塩化炭素を投与し肝障害を誘発すると、野生型よりも顕著な肝細胞壊死に加えて、重度な浸潤や線維化が示された。さらに、四塩化炭素を投与したビトロネクチンノックアウトマウス肝臓からRNAを抽出しトランスクリプトーム解析を行ったところ、四塩化炭素誘導型肝炎モデルビトロネクチンノックアウトマウスは、薬物代謝経路や細胞外マトリックスに関連する遺伝子変動が多く観察された。このことから、ビトロネクチン欠損により、肝細胞における四塩化炭素の薬物代謝や肝星細胞活性による線維化成分合成が影響を受け、肝障害を悪化させることが示唆された。また興味深いことに、ビトロネクチンノックアウトマウスでは、高脂肪食により肝炎が抑制されたことに対して、四塩化炭素により肝炎が促進されており、肝炎を誘発する起点によって異なる表現型を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビトロネクチンノックアウトマウスにおける肝障害が顕著にあらわれたことから、進捗は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ビトロネクチンが四塩化炭素による肝細胞壊死および肝星細胞活性による線維化成分合成を制御するメカニズムを解明する。具体的には、ビトロネクチンノックアウト肝細胞が四塩化炭素による小胞体ストレスを過剰に受けることで壊死が引き起こされること、さらに、ビトロネクチンノックアウト肝星細胞が活性化するシグナル経路の解明を行う。
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