研究課題/領域番号 |
19K16127
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
馬場 健太郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80836693)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 走化性 / 細胞移動 / 樹状細胞 / アクチン / クラッチ分子 / 細胞接着分子 / 免疫 / コラーゲン |
研究開始時の研究の概要 |
細胞外の誘引物質の濃度の高い側へ細胞が移動することを走化性という。樹状細胞は体中の組織に分布しており体内に侵入した病原体を取り込んだ後、誘引物質の濃度の高い側へ移動し病原体情報をT細胞へ知らせる。この情報を受け取ったT細胞は病原体を排除するための免疫系を活性化させる。この様に、樹状細胞の走化性は免疫系において重要である。しかしながら、樹状細胞がどのようにして走化性のための力を生み出し様々な硬さの組織の中を移動するのか、その仕組みは解っていない。本研究では、力と組織の硬さに着目し樹状細胞の走化性の仕組みを明らかにする。本研究の成果は免疫系が機能しない患者の病態原因の理解や治療法開発に貢献する。
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研究成果の概要 |
樹状細胞は誘引物質(CCL19など)に向かって移動する(走化性移動)。しかしながら、樹状細胞の走化性移動機構はよく解っていない。本研究では、樹状細胞においてshootin1bがアクチン線維と細胞接着分子L1の間を連結するクラッチ分子として機能し走化性移動のための推進力の発生に関与することが証明された。また、コラーゲンの硬さに応じて樹状細胞の移動様式が変化することが示され、そして、shootin1bが生体組織内の樹状細胞移動に関与することが解った。本研究により、shootin1bを介した樹状細胞の走化性移動機構を発見することができ、この発見は細胞の走化性の新たな理解に繋がることが期待できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
免疫応答の誘導のためには樹状細胞の走化性が重要であり、樹状細胞の走化性の破綻は、病原体感染の抵抗力減少といった免疫応答の障害を引き起こす(Ato M et al., J. Immunol. 2006)。本研究成果は樹状細胞の走化性機構の理解を深めるだけでなく、免疫応答の障害の原因解明にも貢献し、人々の疾病予防にも寄与する可能性がある。また、走化性は神経回路形成や上皮組織修復、個体発生など様々な生命機能に関わる。本研究によりshootin1bを介した走化性機構を発見した。この発見は樹状細胞の走化性を研究する分野だけでなく、細胞生物学、神経科学、発生生物学の分野において学術的波及効果が期待できる。
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