研究課題/領域番号 |
19K16166
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉竹 良洋 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (10839179)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | エピジェネティクス / 転写因子 / 生殖細胞 / ゼニゴケ / 進化 / 環境情報 / クロマチン / 環境応答 / 陸上植物 / 生殖細胞形成 / クロマチンリモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
環境情報を適切に読み取り、配偶子(生殖細胞)を着実に形成することは“種”の確立を可能とし、進化の原動力となった。本研究では、基部陸上植物を用いた解析を通じて、生殖細胞系列分化の転写機構についてクロマチンの動態を含めた全体像を把握することで本質となる知見を抽出し、単に祖先的な植物が有していた生殖細胞系列への分化機構の解明に留まることなく、変動する厳しい地球環境に対して、植物が種の保存のためにいかに「多様性」を獲得し「普遍性」を保持してきたのか、その生存戦略を学ぶ。また、本質的理解がもたらす知見を生殖細胞分化の人為的制御に向けて応用することで育種戦略の立案や産業植物への還元を目指す。
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研究成果の概要 |
次世代に子孫を残すための生殖細胞の分化は、生物が生物たりうる重要な要素である。世代交代を最大化させるため、生殖細胞分化をいつ・どこで活性化させるかが重要であるが、植物において日長は重要な決定要因の1つである。コケ植物においては日長認識の分子機構は長らく不明であったが、本研究では、苔類ゼニゴケをモデルに、シロイヌナズナと相同な分子モジュールが日長認識を制御することを明らかにし、その分子モジュールが制御する遺伝子群を網羅的に示した。さらにシロイヌナズナとゼニゴケの制御遺伝子群を比較することにより、進化を超えて保存される経路を発見し、生殖細胞分化の本質を考察することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、苔類ゼニゴケにおいて日長 (光周性) を感知する分子機構を詳細に解析しこの感知モジュールが制御する遺伝子の進化的な共通性を見出した。単系統群で進化する陸上植物において、コケ植物と被子植物の遺伝的経路 (パスウェイ) の比較解析は、進化的変遷を超えて保存される経路の抽出を可能とし、経路に重み付けを与えることで、光周性経路の基本骨格すなわち本質を見出すことに成功した。生物的意義については今後の解析が待たれるが、栄養状態を適切に保つことが重要であると推察される。また本研究は、コケ植物では困難であった実験技術の障壁を数多く乗り越えており、今後の植物間のパスウェイ解析を円滑に実行可能にした。
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