研究課題/領域番号 |
19K16177
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 忠章 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (40631213)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 腸 / 血管 / 膣 / 足場 / 硬さ / 応力 / 組織工学 / 上皮立体構造 / 三次元デバイス / コラーゲンゲル / ヤング率 / 相互作用 / 上皮 / 細胞増殖 / 生殖腺附属器官 |
研究開始時の研究の概要 |
組織の形は、タンパク質などの化学的因子のみならず、①細胞が増殖することで発生する圧力、②硬さ、③組織の伸長時におけるスペースの有無で誘導されるが、それら物理的因子の重要性を、直接評価した研究は存在しない。また複雑な立体構造を持つ組織は、発生期に管状を持つ共通性が存在するが、管状構造が立体構造形成に与える影響は未解明である。 本研究では、管状構造と各種物理的因子が立体構造に与える影響を直接的に解明することを目的とする。実験方法として、細胞をシート状または管状で三次元 (3D) 培養可能なデバイスを用いて、①細胞増殖率、②硬さ、③伸長スペースの有無を直接変化させて組織を構築し、構造を測定する。
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研究成果の概要 |
遺伝子やタンパク質に因らず、周囲環境の物理的因子が腸の凹凸などの複雑な上皮立体構造形成に関与していると考えられている。細胞をピースに見立てて任意の形で配置して培養する、ボトムアップ組織工学手法を用いて、腸・血管・膣の足場の硬さや構造を変化させて培養した。腸上皮は平面ではなく管状に培養することで自然とひだ状になった。血管内皮は管状で培養することで分岐して伸長し、足場が硬いとその現象は促進された。膣上皮は足場が硬いことで多層化した。このように組織に因らず、周囲環境の物理因子が上皮立体構造形成を制御していることを直接的に証明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
複雑な生物の形を決定するには遺伝子の数はあまりにも少なく、生物の形づくりにはなるべくしてなる物理因子の関与が必要なはずである。本研究結果により、周囲環境の物理因子が上皮立体構造形成を制御していることを直接的に証明された。本研究が基点となり、物理法則が支配する形態形成の制御機構の解明がさらに発展すると予想される。 また、組織の形づくりにおける物理法則を解明することで、組織を培養系で構築する際に、その物理法則を制御することで組織の形をデザインできるようになると考えられる。例えば本研究で樹立されたヒト3D腸モデルは、より生体に近い吸収試験系として、食品や薬の検査に用いることができる。
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