研究課題/領域番号 |
19K16178
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
山口 陽子 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (70801827)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 円口類 / ヌタウナギ / 体液調節 / 内分泌系 / 内分泌 / 塩分適応 / 環境適応 / 下垂体 / 心臓 / アミノ酸 / 後葉ホルモン / 腎臓 / 細胞・組織 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
我々ヒトを含む脊椎動物の大半は、鰓や腎臓の働きにより、体内の水分とイオンのバランスを常に一定に保つ「調節型」生物である。この体液調節能力の起源を明らかにするため、現生脊椎動物で唯一、体液組成が海水と等しい「順応型」のヌタウナギに着目する。ヌタウナギの鰓・腎臓および筋肉で、各種物質輸送に関わる分子群やホルモン受容体の局在パターンを調べ、個体レベル(鰓・腎臓)および細胞レベル(筋肉)での体液調節機構を検証する。これにより、「調節型」と「順応型」の違いを生み出す分子基盤を解明する。
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研究成果の概要 |
脊椎動物は進化の過程で、体内の水とイオンのバランスを保つ能力(体液調節能力)を獲得し、様々な環境に進出してきた。しかし、この能力がどのような過程を経て獲得されたのかはわかっていない。本研究では、現生脊椎動物で唯一「体液調節をしない」生物であるヌタウナギに着目し、我々「調節型」の生物と何が違うのか、分子レベルで検証した。その結果、ヌタウナギの体液調節関連遺伝子レパートリーは他の脊椎動物と大差ないが、特に塩分の輸送に関する遺伝子がOFFになっていることを見出した。つまり、問題は遺伝子のレパートリーではなくその発現調節様式であり、ヌタウナギは二次的に体液調節能力を失ったことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果は、我々の体液調節能力の起源が従来考えられていたよりも古いことを示唆する。このように、ヌタウナギは脊椎動物の進化を考える上で鍵を握る生物であり、近年注目を集めている。しかし現生種の大半が深海性のため捕獲・飼育が難しく、研究はきわめて遅れている。今回は、①例外的に浅海に分布する種をモデルとし、②同種が容易に捕獲できる島根県の地の利を生かし、③分子レベルで大規模かつ網羅的な解析を行うことにより、ヌタウナギの生理学研究を大きく押し進めることができた。得られたデータは公開データベースに登録したため、今後、国内外の研究者に活用されることが期待される。
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