研究課題/領域番号 |
19K16191
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2020-2021) 慶應義塾大学 (2019) |
研究代表者 |
冨菜 雄介 北海道大学, 電子科学研究所, 特任助教 (70835959)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 膜電位イメージング / 鋭敏化 / 機械感覚 / コネクトーム / 神経生理学 / 環形動物 / ニューロン / モノアミン / ヒル / 無脊椎動物 / 神経生理 / 学習 / 電気生理 / 神経回路 / 画像解析 / 電気生理学 / 膜電位感受性色素 / 記憶 / 神経集団活動 / 神経修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
過去の経験に基づいて行動を変化させる学習能力は動物が環境変化に適応するうえで極めて重要である。学習の神経機構に関してはシナプス可塑性の分子基盤がよく理解されてきた一方で、多数の神経集団活動の寄与という観点では十分な理解がなされていない。近年では神経集団からの網羅的なリアルタイム活動イメージング技術が発達し、従来の枠組みとはまた異なる視点からの生理学的研究が求められている。本研究では「ニューロン集団活動のダイナミクスの 学習行動への関与」という視点から、網羅的記録・細胞同定に有利なヒルを実験系として、鋭敏化学習に的を絞り、その神経回路網ダイナミクスの発現機構を神経生理学的に解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、「多数のニューロンによる活動が学習にどのように寄与するのか」という視点に立ち、その解析に有利なヒルの神経節を材料として、その神経ネットワークの動作原理の解明を目的とした。機械刺激に対する鋭敏化学習を対象に、独自開発した網羅的な膜電位イメージング法(神経活動を蛍光シグナルとして捉える方法)を適用することで、モノアミン含有ニューロンの他、多数の細胞との相関が明らかとなった。また、多種類の機械感覚系の共通の出力先となるニューロン群を同様の手法で探索し、その統合過程について示唆的な結果を得た。さらに、シナプスの生理学-解剖学な情報を統一的に理解するための機能的コネクトームデータを取得した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒル神経節に網羅的な膜電位イメージングという新規に開発したアプローチを実行することで、少数ニューロン系においても、学習成立時に特定の細胞集団が特定のパターンで活動するという知見を得た。これは、多数のニューロン集団の活動ダイナミクスそのものが学習に重要な役割を果たすという視点を支持する。また、行動時の神経活動とシナプス接続の情報を同一の全体神経節から得るという革新的アプローチにより、線虫やショウジョウバエといったモデル動物でも成し得なかった機能的コネクトームデータを取得した。本成果は、シナプスから神経回路、脳から行動という異なる階層レベルを統合的に理解するうえで極めて重要な知見を提供する。
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