研究課題/領域番号 |
19K16197
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45010:遺伝学関連
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研究機関 | 大阪大学 (2020) 国立研究開発法人理化学研究所 (2019) |
研究代表者 |
清家 泰介 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (80760842)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 分裂酵母 / フェロモン / 分子適合性 / Cre-loxPシステム / ハイスループット / DNAバーコード / 次世代シーケンサー / 次世代シークエンサー / Gタンパク質共役受容体 / 共進化 / 有性生殖 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの生物では、性フェロモンを使って異性と交配しているが、フェロモンと受容体がその分子適合性を保ちつつ、どのようにして変化(=共進化)するかはよく分かっていない。 そこで本研究では、遺伝子操作が簡単な分裂酵母を使って「フェロモン (鍵)と受容体 (鍵穴)の新しい組み合わせが生まれる仕組みを実験的に理解する」ことを目指す。DNA組換えと次世代シーケンサーを使った解析方法を用いて、どのようにして「鍵と鍵穴」が変化するかを検証する。この一連の研究は、酵母におけるフェロモンと受容体の共進化の理解につながるだけでなく、昆虫や両生類などのフェロモンを利用する高等生物においても、重要な知見を与えるだろう。
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研究成果の概要 |
フェロモンと受容体はその分子適合性を保ちつつ変化する必要があるが、この共進化のメカニズムはよく分かっていない。そこで本研究では分裂酵母S. pombeとS. octosporusの間で、フェロモンと受容体遺伝子をスワップさせることにより、フェロモンと受容体間の特異性を検証した。その結果、M型フェロモンと受容体遺伝子は近縁種間で交換することはできないが、P型フェロモンと受容体遺伝子は交換できることが分かった。このことから、分裂酵母の2つのフェロモン/受容体の分子適合性には非対称性があることが示唆された。本結果は「フェロモンと受容体の新しい組み合わせが生まれる仕組み」を知る手がかりになるだろう。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フェロモン認識機構はその厳密なイメージとは裏腹に「遊び・曖昧さ」も残されており、これが進化の原動力になっていると考えられている。本研究では、分裂酵母の2つのフェロモンと受容体に着目し、近縁種の遺伝子と交換することで、一方のフェロモン認識は厳密だが、もう一方は柔軟に機能するというデータを得た。そのような非対称な仕組みがフェロモンと受容体の組み合わせの変化を可能にするのかもしれない。生物のフェロモン認識機構は種の維持にとって重要な「厳密な部分」と変化に柔軟に対応できる「曖昧な部分」を両方備え持っているようであり、本研究の成果はフェロモンの変化のメカニズムの手がかりを与えることが期待できる。
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