研究課題/領域番号 |
19K16198
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
後藤 寛貴 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 博士研究員 (60737899)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 性的二型 / 性的対立 / クワガタムシ / 性転換 / transformer / 性決定 / 性分化 / 性染色体 / 性選択形質 |
研究開始時の研究の概要 |
性選択に関わる装飾形質や武器形質(性選択形質)は顕著な性的二型を示す。 これは性選択形質の最適な発現状態が雌雄で異なることによる性的対立を進化の過程で解消した結果だと考えられている。しかし、どのような遺伝的変化が性的対立の解消に寄与したかは同定されていない。本研究では、顕著な大顎発達を示すクワガタムシを材料に、「性的対立が生じていた大顎形成に関わる遺伝子群がY染色体に転位したことで、性的対立の解消と性的二型の進化を引き起こした」という仮説を検証する。方法としては全ゲノム解読とRNAseqによるY染色体遺伝子群の同定、RNAiによる機能解析、および多種間比較によるアプローチを採用する。
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研究成果の概要 |
生物のオスとメスでは最も適応的な表現型が異なることがある。これは性的対立と呼ばれ、性的に対立する形質は、いずれの性でも最も適応的な状態にはなれない。オスとメスの表現型が異なる「性的二型」と呼ばれる現象は、この性的対立の解消のために、ほぼ同一のゲノムを持ちながら、オスとメスで異なる表現型を発現するようになった進化の結果と考えられている。本研究課題では、性的二型が顕著なクワガタムシを材料に、性的対立を解消に寄与した遺伝的要因を検討した。結果、クワガタムシにおいては雌雄で異なる遺伝子発現制御が進化することで、性的二型を進化させたと示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
雌雄の表現型の違いは多くの生物で見られる普遍的な現象である。その発現および進化には、性染色体上の遺伝子セットの寄与および、それらが誘導する性特異的な遺伝子発現制御の寄与がある。本研究では、特定の遺伝子のノックダウンにより、「Y染色体をもたないオス」を比較的容易に誘導できるというユニークな系を用いて、Y染色体が特定の形質の発現に寄与するかどうかを解析した。結果、Y染色体の寄与は限定的であるという明確な結果を得た。 本研究は、多くの国民になじみがある「クワガタムシ」という材料で、雌雄の違いという一般的な問題に取り組んだものであり、アウトリーチ的な意義も大きい。
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