研究課題/領域番号 |
19K16212
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
|
研究機関 | 東北大学 (2020-2021) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
伊東 拓朗 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (10827132)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 海洋島 / 海流散布 / クローナル / 分散 / 島嶼生物学 / ベンケイソウ科 / Sedum / Crassulaceae / 適応進化 / 繁殖生態 / 鱗茎 / Island Syndrome / 分類学 / 長距離散布 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋島の植物では, 他地域から種子や果実等が長距離散布された後に定着し, 長距離散布能力の喪失を伴った海岸性種の山地への適応進化が知られているがその詳細なプロセスは不明である. 本研究では近縁な姉妹群の関係ながら,生育環境や花形態,夏季休眠性,繁殖特性に差異が認められる小笠原諸島固有の山地性種ムニンタイトゴメと南西諸島固有の海岸性種コゴメマンネングサをモデルとし,ゲノムレベルでの遺伝解析や形態・生態学的解析手法を用いて, 山地への進出に伴った栄養体の海流散布能力の喪失が繁殖生態シフト及び花形態進化をもたらしたと仮説を立て, 海洋島における植物の特殊な適応進化メカニズムの解明に迫る.
|
研究成果の概要 |
海洋島の植物種では, “種子や果実”の長距離分散能力喪失を伴った,海岸性から山地性への生育環境シフトを遂げることが知られている. 小笠原諸島固有の山地性種ムニンタイトゴメ(以下ムニン)は,琉球列島産の海岸性種コゴメマンネングサ(以下コゴメ)を姉妹群とし,かつ聟島列島には海岸集団が存在することから,本種群をモデルに海洋島進化過程の検証を行った.結果,聟島列島集団は,近年コゴメが“殖芽”で海流分散して小笠原諸島に到達し,ムニンとの交雑を経て種分化を遂げた新種ムコジママンネングサであった.ムニンは山地性へシフトする過程で殖芽の海流散布能力を喪失しており,一般性と特殊性を有した海洋島進化を遂げていた.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
聟島列島初の固有植物となるムコジママンネングサの発見は,聟島列島もまた他の島々とは異なる独自の生物相を発達させていたこと示す重要な発見となった.また,海浜植物では,種子や果実を海流にのせて長距離散布するものが多く知られているが,コゴメマンネングサの殖芽による海流散布は前例がなく,常識を覆す発見である.これは基本的に長距離散布を行わないベンケイソウ科マンネングサ属がなぜ小笠原諸島に分布しているのかという謎を解く鍵になりうる.さらにその長距離散布能力がムニンタイトゴメおよびムコジママンネングサでは鱗茎をつける進化に伴って喪失しており,一般性と特殊性を有した海洋島進化の一例を新たに示すことができた.
|