研究課題/領域番号 |
19K16236
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
土屋 雄揮 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10636806)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | バイオフィルム / リュウキュウスガモ / 窒素源 / 植物ホルモン / 殺藻細菌 / アマモ / 窒素固定 / アンモニウムイオン / 窒素吸収 / 16S rRNA遺伝子 / イオン濃縮 / 次世代シークエンス / パスウェイ / 硝化 / ショットガンメタゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
アマモは沿岸域の海水中に見られる植物で、その群落は、貝や小魚など様々な生物の棲みかあるいは餌場として、沿岸域の生態系を支えていると考えられている。近年、アマモが根からのみでなく葉からも多くの栄養(主に窒素源)を取り込み利用していることが解ってきた。アマモの葉表面には微生物がバイオフィルムを形成しており、このバイオフィルムがアマモの栄養吸収や生長に関与している可能性がある。本研究では、バイオフィルムおよびバイオフィルム内の微生物による栄養分の保持・変換(窒素固定や硝化等)およびアマモへの供給メカニズムを明らかにし、失われつつあるアマモ群落の再生に役立つ知見を得ることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究ではアマモ葉表面バイオフィルム(biofilm; BF)によるアマモへの窒素供給メカニズムを解析した。COVID-19の影響で本アマモ(Zostera marina)が採取できなかったため、リュウキュウスガモ(Thalassia hemprichii)を実験室で栽培して実験に用いた。分離培養法およびメタゲノム解析により、BF内では同化的硝酸還元やアミノ酸代謝のポテンシャルが高いこと、および殺藻細菌やオーキシン生産菌が存在することが確認できた。藻類の溶菌により得られる窒素化合物からNH4+やオーキシンが生産され、植物の成長が促進されている可能性を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
リュウキュウスガモを含めたアマモ類は沿岸域生態系において水浄化や生物多様性維持などの重要な役割を担うとともに、ブルーカーボンの一部として地球温暖化防止の鍵を握る植物である。陸上植物においてはその成長への微生物の関与がよく研究されており、実際に微生物を植物の栽培に応用している例があるが、水中植物についてはまだ報告が少ない。本研究の結果は、陸上植物の根でよく見られるような植物―微生物間相互作用が、アマモの場合は葉でも起こり得ることを示す。これは、水中植物の生態に関する新しい知見となるだけでなく、近年急激に減少しているアマモ群落の維持、再生に葉表面の微生物が応用できる可能性を示すものである。
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