研究課題
若手研究
近年、REM(Rapid eye movement)睡眠が情動調節機能に与える影響が明らかになってきている。背景には夢見を伴う複雑な生理学的メカニズムがあると想定されるが、そのメカニズムはほとんど明らかになっていない。本研究課題では部分断眠後の朝型の仮眠時の生理計測によって、REM睡眠時の夢内容のデータを取得し、夢見時の生理反応から機械学習技術によって夢の情動的内容を推定するアルゴリズムを構築する。構築したアルゴリズムはREM睡眠、夢見、情動調節に関する研究の大幅な進展に役立つことが期待される。
本研究では、脳波や眼球運動・心拍数などの生理指標を用いて、夢の情動価(ネガティブかポジティブか)を機械学習で判定するアルゴリズムの構築を試みました。広島大学で取得したレム睡眠中の夢報告と同時に取得した生理データを用いて、ランダムフォレストとBORUTAによる特徴量選択を行う機械学習アルゴリズムを構築しました。その結果、7割近い精度で夢の情動価を判別することができました。
悪夢はうつ病や自殺の予測因子であることがわかっていることから、本成果で構築した夢の情動価判別アルゴリズムは悪夢の検知によるうつや自殺の予防法開発等に役立つ可能性があります。さらにエンターテインメント分野においても、夢の内容にアクセスする新たなインターフェースの開発にも貢献すると考えられます。また本研究の特色として、大型の機器を使用せず、脳波や生理反応など比較的簡便に測定できる手法を用いていることから、応用可能性が高いこともあげられます。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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