研究課題/領域番号 |
19K16250
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 貴樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90749798)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 小脳 / プルキンエ細胞 / シナプス刈り込み / プロトカドヘリン / 自閉スペクトラム症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究において、自閉スペクトラム症(ASD)関連遺伝子プロトカドヘリン10 (Pcdh10)の小脳における役割を解明する。Pcdh10がプルキンエ細胞の一部の集団で発現することに注目し、発達期小脳で起こる登上線維-プルキンエ細胞のシナプス刈り込みがそもそも小脳全体で均一に進むかを、小脳スライス標本で電気生理学的に明らかにする。プルキンエ細胞特異的Pcdh10ノックアウトマウス(Pcdh10-cKO)とPcdh10の過剰発現系を用いて、シナプス刈り込みへの影響を調べる。Pcdh10-cKOマウスの行動解析を行い、小脳のシナプス刈り込み異常とASD様行動との関連を探る。
|
研究成果の概要 |
本研究は、自閉スペクトラム症(ASD)関連遺伝子Pcdh10の小脳における役割を解明した。プルキンエ細胞特異的Pcdh10ノックアウトマウスを作製して、登上線維のシナプス刈り込みについて電気生理学的・形態学的に調べた。その結果、プルキンエ細胞のPCDH10は、登上線維シナプスに局在して、シナプス刈り込みに対抗してシナプスを維持する働きを持ち、発達期に一過的に多重支配を作り出す役割があることを明らかにした。行動解析の結果、Pcdh10による登上線維のシナプス刈り込みの正常な遅れがなくなると、ASD様行動である常同性・固執性や社会性の亢進異常が顕出する可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の成果は、Pcdh10発現細胞で登上線維のシナプス刈り込みが遅れて進むこと、Pcdh10がその遅れを作り出すこと、Pcdh10による小脳の発達制御が正常な脳機能に必要であることを明らかにした。また、Pcdh10のプルキンエ細胞での役割を解明しただけでなく、小脳発達が一過的に異常になったマウスが、成体になるとASD様行動異常を引き起こすという現象の発見でもあるという学術的意義がある。発達障害のひとつであるASDを発症しうる仕組みのひとつとして、小脳の発達異常を起因とする、または含んでいる場合がある可能性を示唆しており、この理解によって治療法への開発につながるという社会的意義が考えられる。
|