研究課題/領域番号 |
19K16260
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白鳥 美穂 (林) 九州大学, 薬学研究院, 助教 (20735641)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 痒み / 慢性的な痒み / アストロサイト / 脊髄 / STAT3 / カルシウム / 慢性掻痒 |
研究開始時の研究の概要 |
アストロサイトは、外傷や脳虚血、多発性硬化症、アルツハイマー病などの神経傷害時に主に転写因子STAT3を介して長期的に活性化することで、病態形成や進行・維持に関与する。申請者らの最近の研究から、アストロサイトSTAT3は神経傷害だけでなく末梢炎症でも活性化し、病態の進行・維持に関わることがわかった。しかし、従来活性化の持続時間が短いことが知られているSTAT3がなぜアストロサイトで長期間にわたり持続的に活性化するのかは不明であった。そこで本研究では、アストロサイトSTAT3の持続的活性化機構と病態での役割について、初代培養アストロサイトや慢性掻痒モデルマウスやなどを用いて解明する。
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研究成果の概要 |
脊髄アストロサイト選択的なIP3R1のノックダウンは、持続的なSTAT3活性化や慢性掻痒、アストロサイトのSTAT3依存性因子であるリポカリン-2(LCN2)の発現を抑制した。IL-6によるIP3R1依存的なアストロサイトのCa2+応答は長時間持続し、TRPCチャネルを介したCa2+流入が関与することがわかった。脊髄のTRPCを薬理学的に阻害すると、LCN2の発現と慢性的な痒みが抑制された。慢性掻痒モデルマウスでは、DRGでIL-6の発現が上昇しており、DRGニューロン選択的なIL-6のノックダウンは、LCN2の発現と慢性掻痒を抑制した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって従来のSTAT3活性化に寄与するシグナルとは異なるカルシウムシグナルとの関連が初めて明らかになったことで,慢性掻痒だけでなく,STAT3の長期的活性化が認められる様々な中枢神経疾患の病態メカニズムのさらなる理解に繋がった。さらに,アストロサイトのSTAT3の長期的活性化には,従来アストロサイトのカルシウムシグナルにおいて重要であると示唆されてきたIP3R2ではなく,IP3R1が選択的に寄与することがわかり,アストロサイトのカルシウムシグナルの新たな一面が明らかになった。
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