研究課題/領域番号 |
19K16265
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
市之瀬 敏晴 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20774748)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | アルコール依存 / 遺伝学 / ドーパミン / D1受容体 / ショウジョウバエ / アルコール摂取 / 報酬刺激物質 / ゲノム編集 / 記憶学習 / 慢性ストレス / ドーパミン報酬系 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、ショウジョウバエを慢性的な貧栄養ストレス下で飼育すると、砂糖、アルコール、覚醒剤など様々な報酬刺激物質への嗜好性が顕著に増大することを見出した。本研究は、そのメカニズムをシナプスレベルで解明することを目指す。この目的のため、まずこの行動変化を引き起こす神経細胞を同定する。次に、その細胞が形成するシナプスで、貧栄養ストレスによって生じる変化を分子レベルで解明する。最後に、その分子変化と行動制御の間の因果関係を証明する。本研究は、慢性的ストレスが与える変化において、分子から細胞、行動まで一貫した解析が可能な包括的なモデルとなる。
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研究成果の概要 |
ショウジョウバエはアルコールをよく好み、アルコールの摂取量が日に日に増大することが知られている。本研究ではそのメカニズムの解明を試みた。脳内のD1ドーパミン受容体を可視化したところ、アルコールの繰り返し摂取によりD1ドーパミン受容体が増大することが判明した。また、D1ドーパミン受容体遺伝子の破壊によりアルコール摂取量の増大が阻害されること、人工的なD1ドーパミン受容体の量を増大により、通常のハエに比べて異常にアルコールを摂取するようになることが観察された。以上、アルコールの反復摂取によりD1ドーパミン受容体が増大し、経験依存的なアルコール摂取の増大を引き起こすメカニズムが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多くの哺乳類にとってアルコールは毒であるが、我々ヒトは例外的にアルコールが好きな種といえる。自然界においてアルコールは主に発酵した果実に存在し、人類の酒好きは果実食とともに進化したと言われている。遺伝学モデルとして有名なショウジョウバエは果実を主食とし、昆虫の中では例外的にアルコールをよく好む。ショウジョウバエのアルコール依存モデルにおけるドーパミンの役割を示した本研究により、アルコールを好む幅広い種で保存された共通メカニズムを探ることが可能となる。
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