研究課題/領域番号 |
19K16276
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大島 知子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (50731783)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 網膜 / 感覚器 / シナプス / リボンシナプス / アクティブゾーン / 神経伝達 / グルタミン酸イメージング / カルシウムイメージング / シナプス伝達 / STORM |
研究開始時の研究の概要 |
視細胞や双極細胞の神経終末部のシナプス部位(リボンシナプス)に局在するシナプス関連分子群が見いだされてきたが、各分子の詳細な位置関係には不明点が多い。最近、視細胞終末部のアクティブゾーンタンパク質であるCAST/ELKSの変異、また神経接着因子の変異が、視覚障害の一因と報告された。本研究は、20 nmの超高解像度を持つSTORM顕微鏡を用い、網膜リボンシナプス関連分子群の位置関係を同定する。更に、視覚障害モデルでそれらの位置関係がどのように変化するか解析する。これらにより、網膜リボンシナプスにおける神経伝達の動作機序解明を本研究の目的とする。
|
研究実績の概要 |
視覚情報は網膜の視細胞で電気信号に変換された後、双極細胞を経て神経節細胞に伝達される。視細胞や双極細胞の神経終末部には、神経伝達物質グルタミン酸を含むシナプス小胞を多数繋留するシナプスリボンという特殊構造があり、光刺激に対する持続的応答を可能にしている。このシナプス部位(リボンシナプス)に局在するシナプス関連分子群が見いだされてきたが、各分子の詳細な位置関係には不明点が多い。本研究は、20 nmの超高解像度を持つSTORM顕微鏡を用い網膜リボンシナプス関連分子群の位置関係を同定する。更に、視覚障害モデルでそれらの位置関係がどのように変化するか解析する。これらにより、網膜リボンシナプスにおける神経伝達の動作機序を解明することを本研究の目的とする。
令和2年度研究成果: ① 落射型顕微鏡による網膜リボンシナプス関連分子に対する抗体の最適化を継続し、超解像顕微鏡による観察への準備を整えた。 ② 生理的条件下におけるシナプスリボン、カルシウム流入部位、グルタミン酸放出部位の相互位置関係を把握するために、キンギョ網膜Mb1型双極細胞軸索終末部においてローダミン系蛍光色素(5-tetramethylrhodamine-5-iodoacetamide dihydroiodide, 5-TMRIA)をコンジュゲートしたCtBP結合ペプチドによりシナプスリボンを標識した上で、蛍光カルシウム色素(Fluo-4FFやRhod-FFなど)によりカルシウム流入部位、蛍光グルタミン酸色素(enhanced glutamate optical sensor, eEOS)によりグルタミン酸放出部位を同定した。その結果、カルシウム流入部位、グルタミン酸放出部位ともにシナプスリボンに近接していることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、令和2年度までに超解像顕微鏡を使って野生型マウスおよび視覚障害モデルマウス網膜免疫染色標本を観察する予定であった。しかしながら、コロナ禍の影響もあり、網膜リボンシナプス関連分子に対する抗体の最適化、および実験条件の検討に今なお時間を要している。その一方で、急性単離標本を用いた網膜リボンシナプスからのカルシウムイメージング、グルタミン酸イメージングは安定したものになり、「網膜リボンシナプスにおいてカルシウム流入部位、グルタミン酸放出部位ともにシナプスリボンに近接している」という知見を得ることに結びついた。
|
今後の研究の推進方策 |
落射型顕微鏡を用いた網膜リボンシナプス関連分子に対する抗体の最適化が完了次第、超解像顕微鏡(STORM)による観察を開始し、野生型マウス、視覚障害モデルマウス網膜リボンシナプスの構造解析を行う。 また、網膜リボンシナプスのカルシウムイメージング、グルタミン酸イメージングから得た知見について論文化を進める。
|