研究課題/領域番号 |
19K16286
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
|
研究機関 | 日本医科大学 (2022) 東京大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
佐藤 博文 日本医科大学, 医学部, 助教 (40779435)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 感覚受容 / 記憶 / 塩走性 / ナビゲーション / 線虫 / 感覚刺激 / シグナル伝達 / 神経 / 行動可塑性 / 神経回路 / 神経可塑性 / 学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、線虫の塩濃度記憶と行動調節の機構をモデルとして、動物が経験依存的に行動を調節する機構を分子及び神経回路レベルで明らかにする事を目的とする。学習を引き起こす機構を解明するためには、まず必要な神経回路の全貌を明らかにし、その動態を制御する神経機構及び分子機構を知る必要がある。そこで、本研究では①感覚入力から行動出力までを結ぶ神経回路の動態の解析 ②感覚神経―介在神経間のシナプス極性を反転させる機構の解明 ③経験依存的な神経応答を制御する細胞内分子機構の解明、の3点に注目する。
|
研究成果の概要 |
本研究課題では、まず感覚神経では過去に経験した塩濃度に関わらず常に塩濃度の低下に対して興奮が見られた一方で、一次介在神経とその下流の神経群については、経験塩濃度依存的に塩濃度変化に対する応答が逆転することを明らかにした。この機構においては感覚神経からのグルタミン酸放出、および介在神経における興奮性と抑制性の2種類のグルタミン酸受容体が寄与することを解明した。さらに神経細胞内の各種分子や受容体などについて、変異体や強制発現株などを用いて経験依存的な行動や神経活動の変化に寄与するかをより高等な動物も含めて調べた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
餌と周囲の環境情報との連合学習は、動物に普遍的な学習機構ではあるが、その仕組みについては不明な点が多かった。本研究課題は線虫C. elegansという単純な神経系を持つ生物をモデル生物として用いることで、動物が過去に経験した状況に応じて刺激に対する行動を逆転させる機構を分子レベルで明らかにした。線虫の神経系はヒトをはじめ高等動物の神経系と比べて極めて単純ではあるものの、神経細胞の機能やそれを担う分子については共通するものが多い。そのため本研究課題によって得られた成果は普遍的な学習機構の解明に寄与することが期待される。
|