研究課題/領域番号 |
19K16287
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉武 講平 新潟大学, 脳研究所, 助教 (60649218)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 時間感覚 / 大脳皮質 / マウス / 光学イメージング / フラビン蛋白蛍光イメージング / プロトカドヘリン / 予測 / 時間知覚 / 神経回路 / ニ光子イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
次に起こることを予測し、適切なタイミングで意思決定することは、生きるために必要な能力であるが、そのためには時間を正確に知覚することが求められる。しかし、時間をどのように知覚しているのかについては、未だ不明な点が多い。時間知覚の詳細なメカニズムを理解するには、神経回路レベルでどのような情報処理が行われているのかを知る必要がある。本研究では、マウスに欠落オドボール課題を行わせる。この課題は、一定間隔で示される刺激が不意に欠落することをマウスに検出させる。これには正確な時間知覚が求められる。時間知覚に関わることが示唆されている各脳領域から脳活動を記録し、時間がどのように処理されているのかを検証する。
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研究実績の概要 |
“ヒトを含む動物はどのように時間を知覚しているのか?”という問いは古くから哲学・心理学の分野で取り組まれてきた。動物が外界の情報を予測し、適切なタイミングで意思決定するには、正確な時間の知覚は不可欠である。しかし、いわゆる五感の中に時間感覚というものは無い。また、時間知覚に特化した感覚器は存在しないし、時間情報を特異的に処理する時間皮質も見つかっていない。それにもかかわらず、我々は1秒と10秒を明確に弁別することができる。 申請者は時間知覚が脳内でどのように行われているかを分子・細胞・回路レベルで理解するために、マウスを用いて時間知覚の研究を始めた。マウスに一定の時間間隔で視覚刺激を繰り返し与え続けると、やがてマウスの大脳皮質視覚野は刺激が来ることを予測するかのように、刺激開始数百ミリ秒前から応答することを見出した。この結果はマウスが刺激間隔を知覚し、次の刺激がいつ現れるのかを予測していることを示唆するものである。 クラスター型プロトカドヘリンα(cPcdhα)は神経細胞ごとに多様性をもって発現し、神経細胞の個性と特異的な神経回路形成に重要であることが考えられている。また、cPcdhαが感覚連合や短期記憶、連想記憶などの脳機能に関わることも示唆されている。ヒトにおいて自閉症の関連因子のひとつであることが指摘されている。。このcPcdhαの発現の多様性を減少させたマウスでは、繰り返し刺激に対する視覚野の予測応答が見られなかった。この結果はcPcdhαの多様性を減少させることにより、時間知覚にも障害が起こる可能性を示唆する。
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