研究課題/領域番号 |
19K16294
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
治田 彩香 宮崎大学, 医学部, 助教 (80773316)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 痒み / AMPA受容体 / ペランパネル / 引っ掻き行動 / マウス / Perampanel / Scratching / Mouse / Acute pruritus / Chronic pruritus |
研究開始時の研究の概要 |
痒みは生活の質(QOL)に深く関わっているが、中枢神経系が深く関与している慢性の痒みの治療薬は殆ど無いのが現状である。そこで、既に中枢神経系由来の疾患に対して効果を呈する薬剤の中から抗掻痒効果を呈する薬剤を捜し出し、その薬剤の薬理作用を明らかにする。ペランパネルは、AMPA受容体に対して高選択非競合的に結合し、受容体の活性を減弱することでその効果を誘発する抗てんかん薬である。他方、AMPA/kinate受容体は痒みの情報処理に関与していることが示唆されている。抗てんかん薬であるペランパネルの抗掻痒効果に関する基礎的データを得ることで、ペランパネルが抗掻痒薬として利用できるか否かを検討する。
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研究成果の概要 |
AMPA/カイニン酸受容体が痒みの情報伝達において重要な役割を果たしていることが知られているが、AMPA受容体の正確な役割はまだ不明である。ペランパネルはAMPA受容体に対し高選択非競合的に結合することでその効果を発揮する抗てんかん薬である。ペランパネルの髄腔内投与によって、クロロキンの皮下注射により誘発される引っ掻き行動(急性の痒み)、接触皮膚炎モデルマウスとアトピー性皮膚炎モデルマウスの引っ掻き行動(慢性の痒み)が抑制された。本研究の結果から、AMPA受容体がマウスの急性および慢性の痒みの情報伝達において重要な役割を果たしており、ペランパネルが痒みを軽減する候補薬となる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
痒みは生活の質にも影響を及ぼす不快な感覚でありながら、健康障害としては軽視されてきた歴史的背景がある。近年、病的な痒みの重篤度が世界的に周知されるようになり、脳内報酬系との関与をはじめ、痒みの基礎研究も活発になってきたが、中枢神経系が深く関与している難治性痒みの発症メカニズムやその治療法は未だ解明されていない。本研究から、AMPA受容体がマウスの急性および慢性の痒みの情報伝達において重要な役割を果たしており、抗てんかん薬であるペランパネルがヒトの痒みを軽減する候補薬となる可能性が示唆された。いわゆるドラッグ・リポジショニング(既存薬再開発)の可能性を強く示唆する結果であると考える。
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