研究課題/領域番号 |
19K16345
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
外山 喬士 東北大学, 薬学研究科, 助教 (50720918)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | メチル水銀 / 炎症性サイトカイン / ミクログリア / 活性酸素種 / TNF-α / 神経障害 |
研究開始時の研究の概要 |
メチル水銀は魚介類の摂取を介して人体に蓄積し、中枢神経障害を惹起するが、その機構は不明である。最近申請者はメチル水銀を投与したマウスの大脳皮質において、脳内の免疫担当細胞であるミクログリアを活性化している可能性を見出した。これまで、活性化したミクログリアは 炎症性サイトカイン類の過剰産生を介して神経細胞死を誘導することで;、様々な神経疾患の発症に関わる可能性が示唆されている。そこで本研究では、1. メチル水銀による神経傷害へのミクログリア活性化の関与と、2. メチル水銀によるミクログリア活性化を介した神経傷害機構について解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、ミクログリアの活性を評価可能なマウス大脳皮質スライス培養を確立し、in vivoおよび培養細胞を組み合わせて、メチル水銀は、マウス脳内でミクログリアにおいて炎症性サイトカインであるTNF-αの発現を増加させることを見出した。また、ミクログリアから放出されたTNF-αは、神経細胞のTNFR1を介して神経細胞死を惹起することも明らかにした。また、メチル水銀によるミトコンドリアROS産生亢進を介したASK1/p38の活性化が、上記の誘導に関与することを突き止めた。 以上は、中枢神経においてミクログリアと神経細胞のクロストークがメチル水銀による毒性発現に寄与することを新たに示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
4年前、約150カ国の国と地域が参加する水俣条約が発行されており、メチル水銀の健康影響は現在世界的なホットトピックとなっている。しかし、水俣病の発生から現在まで60年以上にわたりメチル水銀毒性発現機構の研究が行われてきたが、中枢特異的な神経傷害機構解明には至っていない。また、神経疾患におけるミクログリア活性化の関与は現在ホットな研究領域となっている一方、メチル水銀による神経傷害とミクログリア活性化の両者の関連を示す研究は無い。すなわち本申請研究が示した知見は、これらを具体的に、in vitroからin vivoで横断的に示しており、メチル水銀の毒性発現機構を解明する上で意義深い成果である。
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