研究課題
若手研究
1000種類を超える細菌が「内なる外」である消化管内に存在し、宿主のさまざまな生理機能を調節する。特定の生理機能を特定の細菌が調節すると近年指摘されているが、その特異性発揮メカニズムはまだその大半が未解明の状態にある。Gタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptors:GPCR)は宿主の外部環境を認識しうる受容体である。消化管にはリガンド未知のGPCRが数多く発現しており、その機能解明とin vivo活性化検出法の確立が待たれている。本研究計画では、消化管に発現するGPCRが腸内細菌由来の分子を認識する可能性を検証する。
ショウジョウバエ個体内でのGPCR活性化をTANGO法を改変することによって試みようと考えた。GPCRやアレスチンについてヒトの遺伝子を使い、二種類のヒトGPCRを用いて、ショウジョウバエのS2細胞にTANGOコンストラクトをトランスフェクションして検討した。その結果、リガンド濃度依存的な活性化を検出することができた。また、リガンド依存的なGPCRの活性化を腸管で観察可能なことを示唆するデータを得た。ヒトGPCRの活性化をショウジョウバエで検出する実験系はこれまでに無いものである。
ヒトGタンパク質共役受容体(GPCR)は極めて有望な創薬ターゲットである。したがって、医薬品候補となる化合物が実際に体内で効果を示すか評価するための動物個体実験系の開発が望まれている。本研究開発では、GPCRの活性化程度をショウジョウバエ個体内で検出して評価可能な新規実験系を確立することを目的して研究を進めた。その結果、すくなくともショウジョウバエの培養細胞ではリガンド濃度依存的な活性化を検出することができた。ショウジョウバエ個体での検出法をさらに改良し、今後は、本研究において確立したGPCR活性化検出系が薬剤等のスクリーニング系として利用されることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件)
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