研究課題/領域番号 |
19K16352
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
志津 怜太 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (50803912)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 核内受容体 / CAR / 化学発がん / 種差 / 肝細胞増殖 / YAP / 肝がん / 肝発がん / 化学物質 |
研究開始時の研究の概要 |
化学物質による核内受容体CARの活性化は、齧歯動物で肝発がんプロモーション作用を示す。従って、医薬品や農薬等の化学物質開発時に実施される齧歯動物を用いた発がん性試験において、CAR活性化に伴い肝がんが生じる。しかし、CAR依存的な肝発がんには種差が存在し、CAR活性化物質は齧歯動物を用いた発がん性試験で陽性であってもヒトでは肝がんを引き起こさないとされている。化学物質による発がん性は新規化学物質の開発中止の原因になりうる重要な情報であるにも関わらず、このようなヒト外挿性の曖昧さは安全性の観点から問題である。そこで本研究では、CAR依存的な肝発がんのヒト齧歯動物間の種差を決める分子機序を見出す。
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研究成果の概要 |
本研究では、核内受容体CARの活性化に伴う肝発がんプロモーション作用の分子機序及び種差を明らかにするため、組換えタンパク質を用いたインビトロ相互作用解析および遺伝子改変マウスを用いたインビボ解析を行った。その結果、マウスCARは発がん関連タンパク質であるYAPのWWドメインと呼ばれる領域と相互作用し、YAPの活性化を介して肝細胞増殖を誘導するが、ヒトCARはこの相互作用部位が変異しており、YAPを活性化せず、肝細胞増殖も誘導しないことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
化学物質の齧歯動物を用いた発がん性試験において、核内受容体CARの活性化に伴う肝発がんが認められる。これはヒトでは起こらないとされているが、その分子機序が明確ではないため、CARの活性化が実際にヒトにおいて肝がんを引き起こすか否かは明らかではない。化学物質による発がん性は、医薬品や農薬等、新規化学物質の開発中止の原因になりうる重要な情報であるにも関わらず、このようなヒト外挿性の曖昧さは安全性の観点から問題である。齧歯動物におけるCAR依存的肝発がんの分子機序、種差の原因を明らかにした本研究成果は、化学物質の安全性を考慮する上で非常に有益な情報となる。
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