研究課題/領域番号 |
19K16377
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
尾山 実砂 北里大学, 薬学部, 助教 (20804503)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | KCNQチャネル / 疼痛 / 脊髄 / 抑制性 / 電気生理学 / 電気生理 / 掻痒 / 光学測定 |
研究開始時の研究の概要 |
末梢から上位中枢へ至る疼痛シグナル伝達経路では、多様なイオンチャネルがその興奮性制御に関わる。中でも、KCNQカリウムチャネル開口薬が慢性疼痛モデル動物で鎮痛作用を示すことから、末梢側終末から脊髄後角の中枢側終末に至る一次求心性神経上に存在するKCNQチャネルは新規鎮痛薬開発の上で重要なターゲット分子である。本研究課題では、慢性疼痛モデルマウスおよびnaiveマウスから作製する脊髄スライス標本を用い、電気生理学的手法と膜電位感受性色素を用いた光学測定法により、脊髄後角におけるKCNQチャネルの疼痛制御におけるシナプスレベルの役割を詳細に明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、KCNQチャネル開口による鎮痛作用機序解明を目指し、行動薬理学的及び電気生理学的手法を用いて検討した。行動実験より、全身または脊髄内投与したKCNQチャネル開口薬retigabineが鎮痛効果を有し、これはKCNQチャネル遮断薬XE-991の全身または脊髄内投与により拮抗された。よってretigabineの鎮痛効果にはKCNQチャネルの開口が必須であり、その作用点として脊髄が重要であることが示唆された。この脊髄におけるretigabineの作用を電気生理学的に解析したところ、一次求心性A線維由来の興奮性神経伝達を大きく抑制したため、これが鎮痛作用へ寄与していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
急性痛は生体に危険を伝える生理的役割を持つため必要な感覚だが、慢性痛はそれ自体が疾患とされ、患者の生活の質の低下を招くため積極的治療を要する疾患である。本邦の成人における慢性疼痛の有病者は4人に1人とされ、労働意欲の減退による生産力の減弱なども伴うことから、医療費以外にも経済的損失は大きい。しかし、慢性疼痛の治療薬として使われるオピオイド鎮痛薬には乱用や依存への懸念がある。このため、本研究によりKCNQチャネルの開口による鎮痛機序を解明したことは、非オピオイド性の新規鎮痛薬としてKCNQチャネルが新たな治療ターゲットとなる可能性を示し、慢性疼痛患者へ新たな選択肢を増やすことに繋がると考える。
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