研究課題/領域番号 |
19K16412
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日下 祐江 大阪大学, 大学院工学研究科, 技術職員 (30781314)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ホウ素中性子捕捉(BNCT) / 脳脊髄液 / ホウ素薬剤 / 脳腫瘍 / Drug delivery system / 質量分析イメージング / ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) / 血液脳関門 / 脳脊髄液内投与 / Drug Delivery System / BNCT / ドラッグデリバリーシステム |
研究開始時の研究の概要 |
現在、放射線被ばくが少ない放射線治療法として、ホウ素中性子捕捉療法( Boron Neutron Capture Therapy ( BNCT ))が注目されている。この治療法が成功する鍵は、ホウ素薬剤が腫瘍細胞に選択的にかつ高濃度に集積することである。しかし高濃度で投与できる腫瘍選択性ホウ素薬剤の開発は非常に難しい。これを解決するため、肝臓腫瘍では、近位の動脈に投与する、新たな薬物輸送システムが研究されている。しかし脳腫瘍の場合、血液脳関門の存在によりその開発は遅れている。本研究では、脳腫瘍に対する新たな薬物輸送システムとして、脳脊髄液内投与法を提案し、その有用性を検討することを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、ホウ素中性子捕捉療法の脳腫瘍患者へ向けた、新しいホウ素薬剤投与法として提案している「ホウ素脳脊髄液投与法」が、血管投与法と比べて優位であるかを評価した。ラットへのBoronophenylalanine(BPA)の脳脊髄液投与では、血管投与に比べて、1/10以下の投与量にもかかわらず、脳内のホウ素濃度を高めることがわかった。また、MADI質量分析イメージングを用いた脳内のBPA分布画像を得る技術を確立し、約1cm角イメージ、60μm 空間分解能をイメージングする技術の開発に成功した。このイメージング技術を利用して、脳脊髄液投与におけるBPAの脳腫瘍細胞選択性を証明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素の腫瘍細胞での高濃度蓄積と腫瘍細胞選択性が求めらる。ホウ素脳脊髄液投与法は、血管投与法と比べ、投与量がはるかに少ないにも関わらず、脳内のホウ素濃度を高めたことは、この投与法により薬物の毒性のリスクとコストを抑えることができると考えている。また本研究で開発した質量分析イメージングによるラット脳内のboronophenylalanine (BPA)の分布を示す細胞レベルでのイメージングは、ホウ素中性子捕捉療法の薬剤開発などにおけるさらなる発展に貢献できると考えている。脳脊髄液投与法は、さらに中性子照射場で実験動物による実証実験を重ね、人の臨床へと繋げていきたい。
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