研究課題/領域番号 |
19K16417
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
真川 明将 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助教 (20827670)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 薬剤性腎障害 / データベース / 低分子化合物 / キナーゼ阻害剤 / 細胞毒性 / シグナル経路 / Onco-nephrology / 分子標的薬 / シグナル伝達 / オフターゲット作用 / 薬物トランスポーター / 細胞死 / 自己修復 |
研究開始時の研究の概要 |
分子標的薬は、がん細胞に特異的に作用するため副作用の発現は少ないとされている。しかし、一部の症例では腎障害により治療継続が困難となることがある。申請者らは大規模副作用データベースを用いた先行研究で、世界で上市されているすべての分子標的薬について腎障害リスクの検索をおこなった。その結果、5つの分子標的薬に高い腎障害リスクの可能性を見出した。 本研究では、尿細管に対する傷害作用と修復阻害作用の双方に着目して、分子標的薬の腎障害メカニズムを解明することを目的としている。
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研究成果の概要 |
米国の大規模副作用データベースから腎障害リスクと関連性の高いがん分子標的薬を絞り込むことができました。さらに、ヒト腎臓由来の培養細胞を用いてそれらの薬剤の細胞毒性を評価しました。その結果、BRAFV600Eという変異をもつ悪性黒色腫の治療薬であるベムラフェニブは尿細管細胞と糸球体上皮細胞に対して強い細胞毒性を有することがわかりました。一方、第二世代のBRAFV600E変異を標的とする薬剤のダブラフェニブは、ベムラフェニブと比べると細胞毒性が低いことも明らかになりました。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究成果の学術的意義:ベムラフェニブとダブラフェニブは同じBRAFを標的とする薬剤でありながら、腎毒性には大きな差が生じました。この差にはBRAF以外の分子が関与している可能性が強く疑われます。この分子と化合物の構造をつなぐ知見が明らかになれば、がん治療の安全性を向上させることができると考えられます。 社会的意義:ベムラフェニブは承認当初は腎毒性はそれほど危惧されていなかった薬剤であり、適応がん種は限定されていました。しかしながら、近年ベムラフェニブは悪性黒色腫以外のBRAF変異を有するがんにおいて大規模治験がおこなわれています。臨床の使用時には腎障害の発症に特に注意を払うべきであると考えます。
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