研究課題/領域番号 |
19K16438
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
臼井 拓也 東北大学, 薬学研究科, 助教 (50835296)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 血液クモ膜関門 / クモ膜 / 脳脊髄液 / プロテオミクス / トランスポーター / オミクス / 血液組織関門 |
研究開始時の研究の概要 |
脳脊髄液中の内因性物質 (老廃物・内因性神経毒) の濃度異常は様々な神経疾患と関連することから、その排出機構の解明は重要である。本研究では、「脳脊髄液中からの内因性物質の排出に寄与するクモ膜トランスポーターの同定」を目的とした。約1万種類のタンパク質を高精度に一斉定量できるSWATH絶対定量法を用いて、ヒトおよびげっ歯類 (ラット、マウス) のクモ膜に高発現するトランスポーターを同定する。高発現分子の基質輸送方向をラットを用いた輸送解析にて解明する。脳脊髄液中からの排出への関与が示唆された分子の遺伝子欠損マウスにおいて、脳脊髄液中の内因性物質の濃度変動をメタボロミクス手法により明らかにする。
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研究実績の概要 |
脳脊髄液 (CSF) 中の内因性物質の濃度異常は様々な中枢神経系疾患と関連することから、そのCSF中からの排出機構の解明は重要である。令和1年度 (初年度) はブタの軟髄膜 (クモ膜+軟膜) において、プロテオミクスの手法を用いて、クモ膜トランスポーターの絶対発現量及びそれらの発現局在を推定した (Drug Metab Dispos. 48:135-145, 2020)。次の重要な課題は、ヒトのクモ膜における輸送機構の解明である。そこで、令和2年度はヒト軟髄膜における輸送機構や薬物代謝に関連するタンパク質群の発現プロファイルを明らかにすることを目的とした。69歳、70歳、74歳患者の大脳から軟髄膜を単離し、細胞膜調製を行った。可溶化・トリプシン消化後、LC-MS/MSを用いて網羅的なタンパク質定量解析を行った。結果、ヒト軟髄膜において約2千種類のタンパク質の絶対発現量が推定された。ブタの軟髄膜と比較すると、アニオン性とカチオン性の化合物を各々輸送するOATP1A2およびOCT3がヒト軟髄膜に特異的に検出された。OCT3はモノアミン神経伝達物質 (dopamine, histamine, serotonin等) を輸送するトランスポーターであることから、ヒト軟髄膜のOCT3が脳内モノアミン神経伝達物質の濃度調節に寄与する可能性がある。さらに、薬物代謝酵素では興味深いことに、CES1がヒト血液脳関門より40倍以上多く発現していた。ヒト軟髄膜に発現するCES1によって、 中枢におけるエステル型プロドラッグおよびその活性化体の濃度が制御されている可能性が示された。本研究から、ヒト軟髄膜における膜タンパク質の定量的発現プロファイルが初めて明らかになり、ヒト軟髄膜に髙発現するトランスポーター (OATP1A2, OCT3) や薬物代謝酵素 (CES1) の存在が示された。
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