研究課題/領域番号 |
19K16440
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青木 重樹 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (30728366)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 代謝リプログラミング / 解糖系 / ミトコンドリア / オートファジー / マイトファジー / 膵臓がん / メタボローム / PINK1 / 膵がん / エネルギー代謝 / がん / 薬物治療 |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤治療時に問題となるのが薬物抵抗性であり、患者の予後をも左右することからその回避は重要な課題である。抵抗性がんに対する打開策として、我々は抗がん剤の曝露時に変動する細胞内エネルギー代謝に着目している。特に、がん細胞は解糖系に強く依存して生存しているが、解糖系を抑制した場合にも生存可能ながん種もあり、ミトコンドリアを中心とした糖代謝系に“抜け道”を作り、これは一つのがん細胞の生存戦略といえる。本研究では、治療抵抗性のがん細胞に様々な抗がん剤を曝露したときの代謝変動機構を明らかとし、そこを標的とした最適な治療戦略の立案を目指す。
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研究成果の概要 |
がん細胞は一般に解糖系からATPを産生して生存しているが、その抑制時にはミトコンドリア代謝系へとリプログラミングすることが示唆されている。膵臓がん細胞を用いてその代謝変動をメタボローム解析から評価したところ、TCA回路中間体の減少が認められ、ミトコンドリアにおける代謝が亢進していることが明らかとなった。また、解糖系の抑制時にはオートファジーが亢進し、増加したアミノ酸がTCA回路の原料となっていることが見出された。さらに、ミトコンドリア特異的オートファジーであるマイトファジーの活性化によってミトコンドリアが賦活化され、代謝リプログラミングに寄与している可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん薬物治療を行ううえでがん細胞内の代謝環境のリプログラミングは、治療の失敗を招きかねない重要な問題である。がん細胞は特に解糖系に強く依存して生存しているが、その抑制時にはミトコンドリアを賦活化させて生存し続けることが明らかとなった。つまり、解糖系の阻害のみではなく、代謝のリプログラミングを抑制することで、がんに対するより高い奏効率が得られることが期待された。特に、がん細胞特異的なミトコンドリア代謝系への変化やマイトファジーを抑制することで、副作用が少ない効率的ながん治療が行えると確信している。
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