研究課題
若手研究
乳癌患者に対する薬物治療の継続は、しばしば耐性乳癌の出現を誘導し、再発・増悪を引き起こす。しかし、耐性獲得の詳細なメカニズムや克服治療は明らかになっていない。本研究では、乳癌の悪性化に関与するYB-1の活性化シグナルを明らかにし、それを標的とした新規乳癌克服治療薬の創出を目的としている。本研究の成果は、新規治療薬を提示することで進行性乳癌患者の予後の改善が期待でき、治療の向上に大きく貢献できる。
ERα陽性乳癌の治療の過程において内分泌治療耐性癌が出現することが大きな問題となっている。本研究ではY-box binding protein 1 (YB-1)の内分泌治療耐性癌における活性化メカニズムを明らかにし、YB-1活性化シグナルを標的とした新規耐性克服治療の創出を目的とし研究を行った。その結果、耐性細胞株及び内分泌治療耐性乳癌患者においてAKT/mTOR/S6K/S6経路によりYB-1が活性化されること及び耐性癌の出現にYB-1活性化が深く関与していることを明らかにした。本研究の成果により、活性化YB-1が耐性癌出現を予防する新たな標的となることを示すことができた。
ERα陽性乳癌の治療における内分泌治療耐性癌の耐性化メカニズムに関して様々な報告があるが、有効な耐性癌の予防薬や克服治療薬は未だ見いだされていない。本研究で、内分泌治療耐性患者検体及び乳癌細胞を駆使した検討から、活性化YB-1及びYB-1活性化シグナルが耐性癌の出現に関与していることを明らかにした。さらに、活性化YB-1標的薬が内分泌治療耐性乳癌の克服に有効であることを明らかにすることができた。本研究の成果が内分泌治療耐性乳癌治療の発展に貢献することを期待している。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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