研究課題/領域番号 |
19K16460
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
木村 峻輔 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (70792274)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 非晶質製剤 / 経肺投与 / 肺炎 / 抗菌薬 / 粉末吸入製剤 / 肺炎治療 / ニューキノロン系抗菌薬 / 非晶質固体 / レスピラトリーキノロン |
研究開始時の研究の概要 |
現在の肺炎治療は薬物療法が中心であり、ほとんどの症例は薬によって完治する。しかしながら、依然として我が国の死亡原因の上位に位置しており、現在行われる薬物療法には限界がある。特に、主として用いられる注射薬や経口薬では、肺への薬物移行量が限られるため、十分な効果が期待できないと考えられる。本研究では、肺に効率的に薬物送達可能な吸入製剤に着目し、肺炎治療薬の一つである難水溶性薬物シプロフロキサンの新規粉末吸入製剤の開発を行う。これまで溶解過程が律速となる難水溶性薬物の粉末吸入製剤化は困難であったが、本製剤は溶解度に依存しない新たな膜透過メカニズムを基盤とし、画期的な治療システムとなる。
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研究成果の概要 |
肺内薬物量改善を目指した新規膜透過機構を基盤とするシプロフロキサシン(CPFX)粉末吸入製剤の開発を行った。CPFX非晶質製剤は、アミノ酸をコフォーマーとしてボール粉砕法により作製した。各種粉末製剤からの累積膜透過量に関しては、結晶製剤よりも非晶質製剤の方が高く、特にCPFX/ASP製剤が最も高値を示した。同様に、in vivo体内動態評価では、CPFX/ASPを経気道内投与後の肺内薬物量が投与直後で最も高くなり、かつ溶液製剤よりも血漿中薬物濃度に対し相対的に高い薬物量を示した。得られた結果は、新規機構を基盤とする粉末吸入製剤が肺内薬物量を効率的に増大させるのに有用であることを示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の肺炎に対する薬物療法では、肺への薬物到達効率の低さが問題であり、治療効率の低下だけではなく、副作用リスクの増大も懸念された。その点、本研究で開発された新規粉末吸入製剤の有用性が高いことは明らかである。特に、本製剤システムは、これまで吸入製剤化の課題であった溶解性や膜透過性について考慮する必要がないことが大きな利点である。さらに、肺炎に限らず、吸入製剤の選択肢が限られる他の呼吸器疾患に対しても応用可能であり、吸入製剤開発における画期的なアプローチとなり得る。
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