研究課題/領域番号 |
19K16476
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
二宮 遼 大分大学, 医学部, 助教 (00794041)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ピロリ菌 / CagA / LDL受容体 / 高コレステロール血症 / 脂質代謝異常 |
研究開始時の研究の概要 |
ピロリ菌感染、特に菌体から宿主細胞に注入されるCagA蛋白質をもつピロリ菌感染は胃炎、胃潰瘍、さらに胃癌を引き起こすばかりでなく、胃以外の全身性疾患の発症に関連することが知られているが、ピロリ菌感染が全身性疾患を引き起こす機序は明らかになっていない。 本研究ではCagA蛋白質がLDLRとの結合を介してLDLの細胞内への取り込みを阻害することを証明することを目的とする。CagAによる高コレステロール血症およびこれに伴う虚血性心疾患との因果関係を分子レベルから解明することを通して、ピロリ菌感染を原因とする全身性疾患の発症メカニズム解明の先駆けとしたい。
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研究成果の概要 |
本研究ではピロリ菌産生タンパク質であるCagA蛋白質がLDLRとの結合を介してLDLの細胞内への取り込みを阻害することの証明を目的とし研究を進めてきた。 本研究の成果として、細胞内でCagAとLDLRが物理的に直接結合することや、両者が細胞内で共局在することを確認した。さらに、細胞株でCagAを発現させると、細胞内へのLDL取り込みが有意に低下することを証明した。ピロリ菌感染が全身性疾患を引き起こす機序は明らかになっていなかったが、本研究によって、CagAをもつピロリ菌感染と高コレステロール血症およびこれに伴う虚血性心疾患との因果関係の一端を明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ピロリ菌感染、特にCagA蛋白質をもつピロリ菌感染は胃炎、胃潰瘍、さらに胃癌を引き起こすばかりでなく、胃以外の全身性疾患の発症に関連することが知られていた。しかしながら、その臨床的重要性にも関わらず、ピロリ菌感染が全身性疾患を引き起こす機序は明らかになっていなかった。 本研究によって、CagAがLDLRとの物理的結合を介してLDLRの機能を阻害することが明らかとなり、ピロリ菌感染が高コレステロール血症から虚血性心疾患を引き起こすメカニズムの一端が解明された。この成果は、ピロリ菌によって全身性疾患が発症するメカニズムの最初の報告となり、今後新たな治療法の開発が期待される。
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