研究課題/領域番号 |
19K16496
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
喜多 知 福岡大学, 医学部, 講師 (50797107)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | NCX / 熱産生 / 褐色脂肪細胞 / TRPVチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
近年、TRPVチャネルが褐色脂肪細胞における熱産生に関与することが報告され、メタボリックシンドローム治療や肥満改善の標的として注目されている。TRPVを介するCa2+動員が熱産生を誘導すると考えられているが、このCa2+シグナル機序の詳細はさらに解析が必要である。申請者は「褐色脂肪細胞において、細胞内Ca2+輸送に関与するNCXがTRPVと機能連関(分子複合体形成)している」という作業仮説を立てた。本研究では、TRPV-NCX分子複合体の物理的・機能的相互作用のin vitro検証実験および、脂肪細胞特異的NCX欠損マウスを用いたin vivo試験により、この作業仮説を実験的に証明する。
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研究成果の概要 |
褐色脂肪組織 (BAT) は哺乳類における非ふるえ熱産生の主要な場である。最近、TRPV2を介して細胞内に流入したCa2+が、褐色脂肪熱産生においてミトコンドリアのUCP1を活性化させることが報告されている。しかしながら、褐色脂肪熱産生における細胞内Ca2+シグナル機序の詳細は不明である。本研究では、1型Na+/Ca2+交換輸送体 (NCX1) に着目し、褐色脂肪熱産生における機能的役割を解析した。興味深いことに、NCX1ヘテロ欠損マウスでは寒冷環境下における体温維持機能に異常が認められた。本研究成果から、NCX1は寒冷環境下における熱産生に寄与することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肥満は生活習慣病の発症に大きく影響することが知られており、早急な肥満対策が社会的に求められている。脂肪細胞にはエネルギーを貯蓄する白色脂肪細胞と、脂肪を分解して熱産生する褐色脂肪細胞が存在する。寒い環境下では交感神経活動が高まり、褐色脂肪細胞におけるミトコンドリアのUCP1発現が上昇することで、体温が下がりすぎないように熱産生が起こる。 本研究において、褐色脂肪熱産生におけるNCX1の新たな生理学的機能を明らかにすることができた。NCX1は肥満・メタボリックシンドロームの予防や、新たな治療標的となる可能性を秘めている。
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