研究課題/領域番号 |
19K16504
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
石川 智愛 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20804587)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | リンパ管 / 記憶 / 血管周囲腔 / 記憶の再生 / 脳波 / 硬膜リンパ管 / 血管周辺スペース / 髄膜リンパ管 / 記憶・学習 / グリア細胞 / 神経活動・脳波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、リンパ管の損傷が記憶の素子として知られる LTP と LTD、およびそれを制御する脳波に与える影響を検証することに重点を置く。また、脳免疫機能の担い手として着目されるグリア細胞の変化にも焦点を当てる。これにより、リンパ管の損傷が記憶学習成績を低下させるメカニズムを様々なスケールから検証する。「なぜ、硬膜に存在するリンパ管の損傷が記憶機能を障害するのか」を明らかにすることこそが本研究の目的である。樹状突起スパインからネットワークレベルまでの検証を行うことで、脳リンパ‐神経回路連関の実態に迫る。
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研究成果の概要 |
本研究では、MAZ51の投与によりリンパ管新生を阻害したマウスにおいてワーキングメモリが傷害されることを発見した。またリンパ管の結紮は左右前頭皮質のγ波の同期レベルを低下させ、マイクログリアの体積を膨張させていた。ワーキングメモリの成立にγ波は重要な役割を担うことがすでに示されており、リンパ機能の低下が引き起こすγ波の変化がワーキングメモリの低下に繋がったのではないかと推察している。今後より詳細に検証することで、なぜ免疫機能の低下が記憶障害を引き起こすのかを明らかにすることを目指す。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、脳リンパ管と記憶の関係性に対しシナプス-細胞-脳波という異なる階層の相互作用からアプローチするものである。現時点では例数が十分ではないものの、リンパ管の結紮やリンパ管新生の阻害が記憶の回路基盤に及ぼす影響を各階層において発見しており、今後それらをつなぐことで、脳-免疫連関の実体や記憶のメカニズムの解明に繋がることが期待される。 本研究を発展させることにより、脳免疫連関が記憶に及ぼす影響を明らかになれば、記憶研究に対し新たな視点を提供することができる。記憶メカニズムの解明だけでなく、記憶障害の治療を目指す上でも重要な知見になると期待される。
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