研究課題/領域番号 |
19K16510
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
|
研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
石渡 遼 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 助教 (30805916)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | プロスタグランジンE2 / プロスタグランジンE3 / 血管平滑筋細胞 / IL-6 / 動脈硬化 / プロスタグランジンE2 / アテローム性動脈硬化症 / Prostaglandin E3 / 慢性炎症 / 慢性皮膚炎 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性炎症は様々な疾患の基盤病態であり, 皮膚炎や動脈硬化を進行させる. 近年, 魚油などに含まれるオメガ3脂肪酸の効能が着目されているが, その作用メカニズムには不明な部分が多い. 本研究では, オメガ酸脂肪酸であるエイコサペンタエン酸 (EPA) の代謝物質であるプロスタグランジンE3 (PGE3)に, 慢性炎症を抑える作用があるという仮説を検証し, その作用機序について解析を行う.
本研究の実施を通じて慢性皮膚炎および動脈硬化の発症メカニズムの一部を明らかにし, 慢性炎症をコントロールしうる内科的治療戦略の開拓を目指す.
|
研究成果の概要 |
ω3脂肪酸は魚油などに豊富に含まれ, その一種であるEPAには動脈硬化の抑制効果があるとされ, 処方薬としても利用されている. 本研究では, EPA由来の代謝物質であるプロスタグランディンE3 (PGE3) に動脈硬化の抑制効果があるのか検討し, その作用機序を明らかにすることを目的とした. マウスの動脈硬化モデルにおいて, PGE3の投与はアテローム性動脈硬化の進行をむしろ促進した. ヒト大動脈平滑筋細胞を対象とした検討では, PGE3は炎症性サイトカインであるIL-6の遺伝子発現を亢進した. 以上の結果より, PGE3には炎症促進を介した動脈硬化増悪作用があることが示唆された.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から, 当初の予想に反してPGE3は炎症促進物質であり, 動脈硬化をむしろ増悪させることが示唆された.これまで, EPAを基質として生じる種々の物質に炎症抑制作用があることが報告されてきたが, 臨床においてEPAによる動脈硬化抑制効果の有無について統一された見解にはいたっていない. この背景には, EPA由来のPGE3による炎症促進作用が関与している可能性が見いだされた. EPAの投与とともに, PGE3の受容体を阻害すればEPAの効果を高められる可能性が考えられ, 今後の検討課題としたい.
|