研究課題/領域番号 |
19K16522
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 謙次 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (60837061)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | T細胞 / PD-1 / CAGE / ATAC-seq / 免疫抑制受容体 / リン酸化プロテオーム |
研究開始時の研究の概要 |
近年、抗PD-1抗体によるがんの治療が注目を集めている。しかしながら、PD-1がTCRシグナルで誘導される遺伝子発現変動にどのような影響を及ぼすかは分かっていなかった。申請者はこれまでの研究でトランスクリプトーム解析を行い、PD-1によって発現が抑制される遺伝子とされない遺伝子があることを明らかにした。本研究では、PD-1による発現抑制の程度がどのように決まっているのか明らかにすることを目的とする。トランスクリプトーム、ATAC-seq、リン酸化プロテオームのデータを統合的に解析し、PD-1によるTCRシグナル制御を体系的に理解する。
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研究成果の概要 |
遺伝子発現解析とATAC-seqの結果から、TCRシグナルで誘導される遺伝子を複数のグループに分類した。それらの中で、CpG頻度、ATACシグナル、刺激前の発現量が高いグループは弱いTCRシグナルでも発現上昇し、PD-1による抑制を受けにくい傾向を有していた。反対に、CpG頻度、ATACシグナル、刺激前の発現量が低いグループは発現上昇に強いTCRシグナルを必要とし、PD-1による抑制を受けやすい傾向を有していた。また、TCR刺激による遺伝子発現上昇と同様に、開放に強いTCRシグナルを必要とするATACピークほど、PD-1による抑制を受けやすいことを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、抗PD-1抗体によるがんの治療が注目を集めている。しかし、PD-1がTCRシグナルで誘導される遺伝子発現に及ぼす影響の詳細は分かっていなかった。これまでの研究により、PD-1によって発現が抑制されやすい遺伝子とされにくい遺伝子が存在することを明らかにしてきたが、その詳細なメカニズムは不明であった。 本研究により、PD-1による抑制を受けやすい遺伝子はクロマチンの状態に特徴があることが分かった。すなわち、T細胞の状態によってPD-1の影響が異なることが示唆された。PD-1を標的とした治療を行う際にクロマチンの状態を変化させることで、治療効果の増強や副作用の軽減が可能になると期待される。
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