研究課題
若手研究
現在までにベーチェット病の感受性遺伝子は複数同定されているが、依然として遺伝要因の解明には至っていない。本研究では、日本人のベーチェット病の遺伝要因の全容解明を目的として同マイクロアレイを用いて網羅的な同定を試みる。続いて、トルコ人集団のデータとの網羅的メタ解析や、イラン人、韓国人での再現性の検討を行う。4人種から患者3,982例、健常者4,405例が解析される本研究はベーチェット病における過去最大の遺伝子解析研究となる。更に、ベーチェット病の遺伝要因に作用する化合物の網羅的なスクリーニングにより新規治療薬の候補を探索する。
ベーチェット病は全身の諸臓器に急性の炎症を繰り返す原因不明の難治性炎症性疾患である。発症機序はいまだ不明であるが、環境要因と遺伝要因の両方が関与していると考えられている。今回、我々は日本人、イラン人、トルコ人による多人種のベーチェット病遺伝子解析研究を行った。ImmunoArray(Illumina社)を用いて日本人とイラン人のジェノタイピング後に遺伝子解析を行い、それぞれの人種で、ベーチェット病の発症に強く相関する遺伝子領域を同定した。また、以前の研究で取得したトルコ人の遺伝子解析データを用いて、3人種のメタ解析を行ったところ、3人種に共通して感受性遺伝子を新たに同定した。
ベーチェット病は原因不明の難治性疾患であり、我が国の特定疾患に指定されている。その発症機序は未だ不明であり、治療法も確立されていない。ベーチェット病は多因子遺伝子疾患であり、感受性遺伝子を同定するには大規模のサンプルが必要となる。本研究は、ベーチェット病の国際共同研究であり、日本人、イラン人、トルコ人の3つの人種から、患者3000例、健常者3000例を超える規模となった。本研究で得られた遺伝学的知見はベーチェット病の病態を解明するカギとなりうるものであった。将来的には解明された病態に関与する分子に作用する生物製剤の開発など創薬にも繋がっていくことが期待される。
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