研究課題/領域番号 |
19K16543
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
牧野 舞 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10736870)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | リアノジン受容体 / カルシウムイオン / スプライシングバリアント / インスリン生合成 / ゲノム編集 / カルシウムシグナル / Ca2+シグナル |
研究開始時の研究の概要 |
リアノジン受容体(RyR)は小胞体内から細胞質へのCa2+の放出を担うCa2+チャネルであり,膵β細胞ではインスリン生合成機構に関与している。3種類のアイソフォームのうちの主に心筋細胞に発現する2型RyR(RyR2)には組織特異的スプライシングバリアントが存在し,心筋型RyR2はexon 75を含むのに対し,膵β細胞型RyR2ではexon 75が欠失している。本研究では,ゲノム編集技術を用いて培養細胞内のRyR2の発現型(スプライシング型)を改変させ,未改変細胞との機能の差異を確かめることで,RyR2の組織特異的スプライシングバリアントの役割を解明する。
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研究成果の概要 |
膵β細胞においてインスリン生合成機構に関与する小胞体Ca2+チャネルである2型リアノジン受容体(RyR2)には,exon 75を含む「心筋型」とexon 75を欠く「膵β細胞型」の組織特異的スプライシングバリアントが存在する。その存在意義の解明を目指し,ヒト膵β細胞由来1.1B4細胞に対しRYR2遺伝子のintron 75の特殊なスプライシング開始配列「gg」を「gt」に変異させRyR2を「心筋型」に改変した結果,インスリン生合成機能の低下がみられた。また,改変マウスの膵島ではグルコース応答性が低下した。以上より,インスリン生合成機能において「膵β細胞型」RyR2が重要である可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
RyR2の選択的スプライシングは組織特異的であることから組織の機能との関連が予想された。今回の研究結果より,膵β細胞においてRyR2のスプライス型(発現型)を「膵β細胞型」から「心筋型」へ変化させるとインスリン生合成機能が障害されることが示され,インスリン生合成機能において「膵β細胞型」RyR2が重要である可能性が示唆された。本研究の成果は,糖尿病の発症原因の一つである膵β細胞の機能低下の詳細なメカニズムの解明においてRyR2の機能異常という新しい知見を提供できるものであり,糖尿病の新たな治療薬の開発研究にも貢献しうると考える。
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