研究課題/領域番号 |
19K16555
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山ノ井 一裕 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80464965)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 幽門腺型 / MUC6 / 糖鎖修飾 / 多段階発がん / 前がん / 腫瘍マーカー / 胃型形質 / 粘液 / αlcNAc / 幽門腺 / 糖鎖 / 胃型粘液 / αGlcNAc / 肺癌 / 腺癌 / filopodia / FSCN / aGlcNAc / 幽門腺型粘液 / 胆道癌 / BilIN / 胃底腺型胃癌 / 分化 / alphaGlcNAc / 多段階発癌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、胃、膵臓、子宮頸部のがん病変、前がん病変におけるαGlcNAcの発現低下について、予後を含めた悪性度の関係まで調べ、対象臓器も肺、胆道などに広げて検討することを1つの目的とする。がん由来の培養細胞株を用いて、αGlcNAcの発現に呼応する細胞機能の変化と、関連する遺伝子発現やリン酸化の変化を調べ、αGlcNAcががんの悪性化を抑制する分子生物学的な機序を明らかにし、αGlcNAcの発現変化を基盤とした、新たな治療標的の知見を得ることが2つ目の目的である。 本研究で、がんの悪性化に関わる糖鎖修飾の変化が臓器横断的に理解されれば、糖鎖修飾を鍵にした新たながんの治療標的の研究の基盤になる。
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研究成果の概要 |
ヒト腫瘍検体を用いた組織学的検討により、諸臓器の幽門腺型粘液産生腫瘍では、前がん段階からα1,4-linked N-acetylglucosamine(αGlcNAc)の低下がみられ、がんの進行に伴いMUC6の発現低下がみられた。がん由来培養細胞に、MUC6遺伝子、αGlcNAc糖鎖修飾を起こす唯一の酵素であるα1,4-N-acetylglucosaminyltransferase遺伝子を導入した。MUC6の発現により、細胞の増殖,運動,浸潤能が低下し、αGlcNAc糖鎖修飾の追加で増強された。MUC6、αGlcNAc低下は癌のマーカーになるだけでなく、癌の悪性化に関わることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幽門腺型粘液の産生を伴う腫瘍は、諸臓器においてみられるが、しばしば、組織学的に、細胞異型に乏しい症例が存在する。ゆえに、病理診断の現場において、その早期病変の診断が難しい場合がある。本研究によって、早期病変マーカーとしてαGlcNAcの低下・消失が明らかになったことで、幽門腺型粘液の産生を伴う腫瘍の早期診断の大きな一助になると考えられる。また、ヒトがん由来培養細胞株を用いた実験により、MUC6の発現、αGlcNAcの糖鎖修飾低下が、直接、がん細胞の悪性化にかかわることが明らかになった。今後その機序をさらに明らかにすることで、これらの腫瘍に対する、新たな分子標的療法が可能になると考えられる。
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