研究課題/領域番号 |
19K16564
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
谷 里奈 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20783872)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膵管癌 / ゲムシタビン / 薬剤耐性 / ミトコンドリアDNA / 部分ρ0形質 / 酸化的リン酸化 / 活性酸素種 / 膵癌 / 低酸素 / ρ0形質 / 酸化ストレス / ミトコンドリアDNA障害 / エネルギー代謝 / ミトコンドリア遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①ρ0化によりゲムシタビン耐性が獲得されるか、②ゲムシタビン耐性に関連するρ0化に伴う遺伝子発現や代謝変化は何か、 ③ρ0化に伴う悪性形質亢進の原因は何か、④ρ0化はゲムシタビン以外の薬剤耐性にも関与するのか、⑤ゲムシタビンががん細胞のρ0化を誘導するのか、の5点について解明を行う。膵管癌の臨床において、ゲムシタビン投与中はコントロールされていた病勢が耐性出現とともに他剤投与によっても制御不能になることはしばしば経験されるところであり、この5点を解明することにより、抗がん剤耐性、悪性形質、ρ0化の機序が明らかとなり、ゲムシタビン耐性の獲得予防・耐性解除につながると考えられる。
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研究成果の概要 |
ゲムシタビン持続処理により樹立されたゲムシタビン耐性株は、ミトコンドリアDNAに部分的な欠失をしめす部分ρ0形質を有していた。この細胞は、ゲムシタビン処理により、ミトコンドリア膜電位の低下と酸化的リン酸化の抑制を介してゲムシタビンにより誘導されるミトコンドリアROS産生を抑制することによりゲムシタビン耐性を獲得していた。このように、抗癌剤耐性は抗がん剤自身が有するDNA毒性による癌細胞の部分ρ0化が重要な役割を果たすことが示唆された。この部分ρ0形質を標的とする治療法を検討売ることにより、より有効な化学療法が実現されることが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌細胞における抗がん剤耐性の獲得に、抗がん剤の有するミトコンドリアDNAに対する毒性に起因する部分ρ0形質の獲得が重要な役割を果たすことが示された。この結果は、抗癌剤による化学療法そのものが耐性を惹起する内在的危険性を有することを、その機序を明らかにしたものであり、重要な知見と考えられる。今後は部分ρ0形質の獲得の抑制、あるいは、部分ρ0形質を克服する治療法を開発することにより、抗がん剤耐性の獲得を抑制し、より効果的な化学療法を可能にすることが可能になると期待される。
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